石油週間展望=底入れ模様、70ドル台割れの下値の堅さを確認

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [12月18日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     12 月 11 日〜 12 月 15 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   81,000    81,000(11)    81,000(11)   81,000        ±0
灯  油  先限   81,500    81,500(11)    81,500(11)   81,500        ±0
原  油  先限   60,920    62,910(12)    60,920(11)   62,860     +1,980
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                                        12 月 11 日〜 12 月 14 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値      安 値     終 値   前週末比
  NY原油  2 月限     71.36    72.73(14)    67.98(13)  71.91      +0.47
ブレント原油  2 月限     75.73    77.35(14)    72.29(13)  76.61      +0.77
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15日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 141.89 前週末比 2.01円の円高
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【前週のレビュー】目先はどこまで下値余地があるのかが注目されるが、全値押しがあ
れば、米FOMC声明文が公表される13日の新月辺りに底入れするシナリオが描け
る。また13日にはOPEC、14日にはIEAの月報がそれぞれ発表されるとした。

【NY原油は新月底から反発基調】
 ニューヨーク原油1月限は結局、納会前にもう一段安が仕掛けられて直近安値は13
日の67.71ドルまであった。しかし今年の安値から高値までの上昇の「往って来
い」となるような全値押し(1月限ベースで64.37ドル、期近つなぎ足ベースで
63.57ドル)までは下落せず、直近の高下である11月16日の安値72.37ド
ルから30日の高値79.60ドルまでの上げ幅のほぼ1.618倍押し(67.90
ドル水準)で下げ止まった形。その後急反発しており、前回の当欄で指摘した「新月
底」のシナリオ通りの展開となっている。
 今後、年内クリスマスシーズンに入り商いは薄くなるが、目先はどこまで上値を試す
のかが焦点となる。1月限は19日の納会に迎えるため、2月限が指標限月となるが、
11月30日の高値79.67ドルから13日の安値67.98ドルまでの下げ幅のす
でに38.2%戻し(72.45ドル水準)を達成していることで、目先の上値メドは
半値戻し(73.83ドル水準)、61.8%戻し(75.20ドル水準)などにな
る。

 材料的には、今回は新月に実施されて原油相場の底入れのタイミングになる可能性を
指摘した米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文公表だが、来年の利下げ開始が示
唆されて米景気悪化懸念が後退してドル安が大きく進展したこともあり、恰好の買い戻
し材料となった。水準的にも今回2度の70ドル台割れから下値反発の強さを感じさせ
る動きとなったことで、70ドル台割れには割安感が強いことを伺わせている。
 なお13日と14日に石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA)
の月報が発表されたが、後述するように、前者は2023年、2024年ともに世界石
油の需要の伸びを据え置き。後者は2023年をやや下方修正したものの、2024年
はやや上方修正した。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はさらに上昇して、3万7000ドル
台に乗せて最高値を更新した。引き続きどこで天井感が出て来るかが年末に向けての焦
点となりそうだ。
 ドルインデックスは完全に底割れ模様となり、101ポイント半ばまで急落してお
り、顕著なドル安傾向となってきた。
 原油相場にとってはともに引き続き追い風と言える形。

【OPECとIEA月報】
 発表物を見ると、まず13日のOPEC月報では、2023年の世界石油需要の伸び
は日量246万バレル、2024年は同225万バレルとそれぞれ前月から据え置かれ
た。
 2024年の見通しについて、「慎重ながらも楽観的だ」と指摘して、12月の原油
価格下落について、誇張された需要懸念が原因としている。
 14日のIEA月報については、2023年の世界石油需要の伸びは同230万バレ
ルと前回から9万バレル下方修正、2024年は同同110万バレルと前回から13万
バレル上方修正された。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油先限は下降中のボリンジャーバンドの−2シグマ(6万2210円辺り)を
挟んだ下値もみ合いが続き、6万1000円の節目がひとまず下値支持となっている。
 ガソリン先限は名目値で8万1000円の横ばい。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油2月限は13日に67.98ドルの安値を付けて、下降中のボリン
ジャーバンドの−2シグマ(67.99ドル辺り)をタッチ後に反発して、−1シグマ
(70.98ドル辺り)を大きく上抜けた。

<当面の予定>
18日【経済】金融政策決定会合(日本銀行)
   【経済】独景況感指数 2023年12月(ifo)

19日【経済】総裁記者会見(日本銀行)
   【経済】金融市場調節方針公表(日本銀行)
   【経済】金融政策決定会合(日本銀行)
   【経済】ユーロ圏消費者物価指数 2023年11月確報(EUROSTAT)
   【経済】米住宅着工・許可件数 2023年11月(商務省)
   【工業】米週間石油統計(API)
   【納会】米WTI原油 2024年1月限(NYMEX)

20日【経済】貿易収支 2023年11月速報(財務省)
   【工業】ゴム指定倉庫在庫(大阪取引所)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】ユーロ圏国際収支 2023年10月(ECB)
   【経済】独生産者物価指数 2023年11月(連邦統計庁)
   【経済】英消費者物価指数 2023年11月(国立統計局)
   【経済】英小売物価指数 2023年11月(国立統計局)
   【経済】英生産者物価指数 2023年11月(国立統計局)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米経常収支 2023年7-9月期(商務省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2023年12月(カンファレンスボード)
   【経済】米中古住宅販売統計 2023年11月(全米不動産協会)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

21日【経済】米国内総生産 2023年7-9月期確報値(商務省)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米製造業景況指数 2023年12月(フィラデルフィア連銀)
   【経済】米景気先行指数 2023年11月(カンファレンスボード)

22日【経済】消費者物価指数 2023年11月(総務省)
   【経済】金融政策決定会合議事要旨公表 10月30-31日分(日本銀行)
   【経済】仏消費者信頼感指数 2023年12月(INSEE)
   【経済】仏生産者・輸入物価指数 2023年11月(INSEE)
   【経済】英国内総生産 確報値 2023年7-9月期(国立統計局)
   【経済】英小売売上高 2023年11月(国立統計局)
   【経済】米個人所得・支出 2023年11月(商務省)
   【経済】米耐久財受注 2023年11月速報値(商務省)
   【経済】米新築住宅販売 2023年11月(商務省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2023年12月確報値(ミシガン大)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
   【商品】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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