ゴム週間見通し=調整安場面、急ピッチの上昇の反動や春節を控えて

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
 【前週までのレビュー】目先、直近の上昇に対する調整場面があるが、ウィンタリン
グ(落葉期=減産期)を控えていることから、中長期的には上昇場面が続く可能性があ
るとみた。
 【7月限はもう一段の調整か】
 JPXゴムRSS3号の活発限月の7月限は、上げ一服となっている。1月26日に
一代の高値となる288.9円まで上昇したが、その後は、高値圏でのもみ合いとなっ
ている。産地相場は、引き続き上昇している。今後、ウィンタリング(落葉期=減産
期)も意識されることから一段高の可能性もある。ただ、直近の上昇が急ピッチである
うえ、ファンダメンタルズとはかい離した動きとみられるため、7月限はさらなる調整
安には注意したい。
 【産地高は一段高】
 タイの現物価格の上昇が続いている。タイ南部の天然ゴム主要積出港のソンクラ港渡
しのオファー価格(FOB)をみると、年初1キロ=62.12バーツ(約257.1
8円、1バーツ=4.14円で計算)が2月1日には74.53バーツ(約308.5
5円)まで上昇している。ただ、産地では、天候不順などによるタッピング(樹液採取
作業)障害の話は聞かれない。時期的には、ウィンタリングが意識されるが、10日か
らの春節を控えて上げ一服の可能性を考えておきたい。
 【上海ゴムは下値を試すか】
 上海ゴム5月限の売り圧力が強まっている。1月23日に9日に付けた直近の安値1
万3380元を下抜き、1万3345元まで下落後、25日には1万3790元まで戻
したが、買いは続かず、2月2日に1万3195元まで軟化している。昨年12月6日
の安値1万3115元に接近しており、同水準を割り込むと、節目の1万3000元や
昨年8月16日に付けた一代の安値1万2735元が視野に入る。
 【中国製造業は低迷】
 1月31日に中国国家統計局が発表した1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)
は49.2で2023年12月の49.0から上昇したものの、景況感の分かれ目とな
る50を4カ月連続で下回った。依然として、中国の景気回復は遅れている。
中国人民銀行(中央銀行)は、先月24日、預金準備率を引き下げた。ただ、一部報道
にあった中国政府からの新規の財政出動は、現時点では行われていない。中国景気が、
本格的に回復するまでは、ゴム相場の本格的な上昇は望めないだろう。
 【東京ゴム活発限月の7月限のテクニカル要因】
 ゴムRSS3号の活発限月の7月限は、上げ一服となっている。直近1カ月の値動き
をみると、258.0円で大発会を迎えると、1月10日には252.3円まで下落し
た。ただ、同水準で支持されると、産地相場の上昇を受けて、1月26日まで一方的な
上昇となり、288.9円まで水準を引き上げ、一代の高値を付けた。その後は、売り
がやや優勢となっているが、節目の280円では押し目を拾われている。
 再度、地合いを引き締めれば、1月26日に付けた一代の高値288.9円が最初の
関門。高値更新となれば、節目の290.0円や300.0円を試すことになる。
 一方、軟化すれば、節目の280円付近が支持になる。同水準を割り込むと、270
円台に沈むと、同水準は、今回の上昇場面では270円台であまり時間を掛けていない
ことから、節目の270円付近まで一気に水準を引き下げる可能性があるとみる。
 【今週の注目ポイント】
 産地相場に注目したい。直近の上昇は、産地相場主導である。産地で生産障害などの
話はないが、ウィンタリングを控えていることから、先高観が強まれば、一段高の可能
性がある。その一方で、春節を控えて、中国勢の買いが手控えられると、軟化に転じる
ことも予想できるので注意したい。
 【相場予想レンジ】
 2月5〜9日のゴムRSS3号6月限の中心レンジ予想は260〜300円。テクニ
カルの支持線は280.0円(節目)、抵抗線は288.9円(一代の高値)。

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