<金> NY金4月限は、1月30日に終値ベースで2050ドルを回復。その後も堅調な足 取りを維持し、2月1日の取引では一時的ながら1月12日以来の高値の2083.2 ドルまで上昇。終値ベースでは年初来の高値に迫る2072.3ドルを記録した。 抵抗線になっていた2050ドルを上抜いて以降、NY金が確りとした足取りで推移 しているのは、米連邦準備理事会(FRB)による利下げの可能性が高まったことが背 景となっている。 年明け以降のNY金4月限は、発表された米経済指標では、雇用情勢やインフレ率の 緩和が示されながらも個人消費は旺盛と強弱入り混じる内容が続いている。昨年末にか けて盛り上がりを見せた利下げ観測に伴い2100ドルを超える水準まで上昇した後の 修正から値を崩し、2050ドル以下での調整が続いていた。1月末から2月上旬にか けて浮上してきたことは調整を終えたことを示唆している。 1月30〜31日に開催された公開市場委員会(FOMC)で、金利の据え置きが決 定されたうえ、パウエルFRB議長はFOMC後の会見において今後の見通しについて は不透明としたほか、インフレ率が持続的に低下し2%に近づくことを示す証拠が必 要、と利下げには慎重な姿勢を見せたが、その一方ではインフレ低下を確信させる経済 指標の発表があれば利下げに向けて動く可能性も示され、これを受けて3月利下げ観測 は後退しながらも、5月の利下げはすでに織り込まれている。 CMEのFedウォッチによると2月1日時点で3月利下げを見込む比率は37%で あるが、6月の利下げを見込む比率は91.2%となっている。 2日に米雇用統計、13日には消費者物価指数など、今後も米雇用情勢やインフレ状 況を示す経済指標の発表が続く。NY金は高まる5月利下げ観測を手掛かりにして底意 の強い足取りが続くと予想されるが、3月利下げ着手の可能性が消滅しているわけでは ないうえ、地政学不安や米財政悪化に対する警戒感に支えられていることもあり、米経 済指標の内容次第ではさらに地合いを引き締める可能性もある。 また、中国の景気不安も安全資産を高める要因になるため、NY金は逃避買い需要に も支えられることになりそうだ。 なお、米国では商業用不動産融資に関連した損失が計上されるなど、米地方銀行の経 営不安が再燃している。状況次第では金の安全資産しての需要を高める要因になる可能 性がある点に注意しておきたい。 <銀> NY銀3月限はNY金が堅調な足取りに追随して浮上し2300セントを上抜いた が、その後は伸び悩みに転じている。 3月の米利下げ観測が後退するなか、安全資産としての需要の弱さが重石になってい るが、金の底堅い足取りが見込まれるだけに2300セントを下値支持線にしての高下 が続くと予想される。 <白金> NY白金4月限は金の上昇に追随する動きを見せていたが940ドルに達すると反落 に転じている。 3月の米利下げ観測の後退に加え、中国の景気不安とこれを受けた需要の減退観測が 重石になっている。チャート面では900ドル前後で下値を固めた形となったものの、 940ドルに達したところで上げつかえた。940ドル以上の水準では上値は重そう。 金の底堅い動きが下支え要因ながら、目先は900〜940ドルのレンジで高下か。 <パラジウム> NYパラジウム3月限は1月17日に904.5ドルを付けて以降、じり高で運ばれ ていたが1000ドルの節目に達したところで売り直されている。1000ドル台の回 復を促す独自の材料に乏しいなかで中国の景気不安がパラジウム市場にも波及してい る。白金の頭重い足取りも上値抑制要因だけに、1000ドルを下回る水準でのもちあ い継続が想定される。 MINKABU PRESS
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