<金> NY金4月限は今月14日に1996.4ドルまで値を落とした後に切り返したが、 2040ドル台に達すると伸び悩みもちあいに転じている。 米利下げ観測の後退を消化した後に売られ過ぎに対する警戒感や米1月小売売上高の 減少を手掛かりにして買い戻されたものの、米1月卸売物価指数(PPI)は事前予想 を上回ったことが重石になるなど、米経済指標には強弱入り混じる状況が続いている。 米国のインフレ率は大きな流れとしては鈍化傾向を保っているが、それでも3%台で の推移が続いているうえ、米雇用情勢も底堅さを見せているため、米連邦準備理事会 (FRB)が目標とする2%を達成するにはまだ紆余曲折が残されていることが窺われ る。 利下げに至るまでの道のりに不透明感が強まるなか投資用としての金需要は後退し続 けており、2月21日時点のSDPR金ETF残高は829.82トンと19年8月 1日以来の830トン割れを示現している。 ただ、中国の景気不安や同国の利下げ、そして中東情勢不安などの地政学不安など、 安全な投資先としての金需要を支える要因も見受けられる。 特に高金利環境がさらに長びくようであれば米財政悪化や商業用不動産投資を巡る米 地銀の経営不安がさらに高まる可能性があることも、逃避買い需要を刺激する要因とな っている。 昨年12月に米早期利下げを先取りする形で2100ドルを上回る水準まで上昇した が、1月に入りFRBの方向性は利下げに向けられつつあるにもかかわらず、その着手 の時期の認識の違いによって生じた急上昇後の修正が続いていた。 その修正も2000ドルを割り込む水準まで値を落としたことで一巡したと見られる ため、当面は各種経済指標の発表待ちのなか、利下げ着手の時期を探りながら2050 ドルを抵抗線にしてもちあうことが予想される。 <銀> NY銀3月限は今月14日に2197.5セントまで値を落とした後に切り返し、 16日には2356セントまで浮上したが、その後は反落に転じている。 これまでの下落の後の自律反発の動きもこれで一服したと見られる。金のもちあいが 予想されるため、2300セントを挟んでの高下となりそうだ。 <白金> NY白金4月限は今月15日にそれまで上値抵抗線となっていた900ドルの節目を 上抜いた後も続伸し、20日に921.7ドルまで浮上したが21日に急落となり、再 び900ドルを割り込んでいる。 金の下落に追随安となった後に修正高場面を演じたものの、金とは異なり安全な投資 先としての需要が限られているうえ、中国の景気不安を受けた需要見通し不透明感、 米早期利下げ観測後退を受けたドルの高止まりが重石になっている。 2024年は白金の需給引き締まりが予想されているものの、米利下げ観測を手がか りにして大きく浮上した昨年末にかけてこの強気材料も織り込んだ感が強い。引き続き 920ドルを上値抵抗線にしてのもちあいになるのではないか。 <パラジウム> NYパラジウム3月限は13日に851.5ドルまで値を落とした後は他貴金属の上 昇に追随して浮上。白金との価格逆転も買い戻しを促す要因となったことがその後の急 伸に繋がったが、21日には反落に転じて950ドル台へと値を落としている。 独自の要因に乏しいため、他貴金属の動向や白金との価格差を手掛かりにした高下が 予想されるが、白金のもちあいが想定されるため1000ドルの節目と21日移動平均 が通る940ドル台前半と限られたレンジ内での高下が見込まれる。 MINKABU PRESS
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