貴金属4品週間見通し=NY金は追加利下げ期待をインフレ懸念が相殺=

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金2月限は今月14日から25日にかけて大きく上昇し、25日に2748ドル
まで上昇したが、その後は急落に転じ2629,7ドルまで下落。その後、再浮上した
が、2680ドル台で上値を抑制される足取りとなっている。
 トランプトレードによるドル買いの動きを受けて急速に値を落とした後、トランプト
レード一巡に伴う買い戻しに加え、ウクライナが欧米製のミサイルを発射したうえロシ
アもICBMを用いたことでウクライナ情勢緊迫感に対する警戒感が強まったことが安
全な投資先としての需要を刺激したことが14日から25日にかけての大幅高の背景と
なった。
 ただ、その後のウクライナ情勢に関してさらなる緊迫化を示す報は伝えられておら
ず、その一方でレバノンとイスラエルの停戦が合意に至り中東情勢不安が後退している
ことが逃避買いとしての金需要を後退させる要因となっている。
 また、12月の米公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が浮上しているこ
とが金市場における買い支援要因ながら、追加利下げが継続的に行われる可能性は低い
とみられる。その背景はトランプ政権が発足した後のインフレ率の上昇が警戒されるか
らだ。
 1月にトランプ新政権が発足するが、トランプ氏は大統領選において中国を始め、他
国からの輸入品に関する関税引き上げを公約として掲げているが、これが実現された場
合、米国内の物価は直接的な上昇を強いられると予想される。
 また、輸入関税の引き上げにより輸入量が減少するようであれば国内での生産活動が
活発化すると予想されるが、そうなった場合には労働力が必要となるため、軟化傾向に
ある雇用情勢が引き締まり、現時点でも上昇傾向を継続している賃金の上昇が加速化す
る可能性がある。
 すでに賃金の上昇による米消費者物価指数(CPI)の下げ渋りを経験しているだけ
に、今後、賃金上昇の加速化が促されるような要因が浮上することがあれば、米連邦準
備理事会(FRB)にとっては追加利下げに慎重な姿勢をとらざるを得ない。
 目先は12月追加利下げ期待を背景に底意の強い足取りを演じたとしても、インフレ
率が加速化する可能性が見られるだけに上げ余地は限られ、2700ドルを上値抵抗線
にしての高下が続くと予想される。
<銀>
 NY銀3月限は3050セント前後での推移となっている。NY金が大きく値を落と
した足取りに追随しながらも、NY金ほどの上昇を経験していなかったため下げ幅は限
られている。
 今後の米中関係に不透明感が強まるなか、中国の景気不安やNY金の頭重い足取りが
重石になるとみられ、3100セントが目先の上値抵抗線になってのもちあいが想定さ
れる。
<白金>
 NY白金1月限はNY金の急落に追随安となった後は930ドルを割り込むと買い戻
されるなど、これ以上の下落には抵抗を見せているが、戻り足は鈍く940ドルに達す
ると転売が見られるなど上昇に対する抵抗を窺わせている。
 来年の需給見通しが、3年連続の供給不足になる見通しだが、トランプ氏の関税引き
上げ方針により、自動車向け需要が不透明なため、上昇の勢いに欠ける足取りが続いて
いる。
 ドル売りの動きは買い支援要因ながら目先は950ドル超えができるかが注目され
る。950ドル超えとなると、960ドル水準まで上値の余地が生まれる。
<パラジウム>
 NYパラジウム3月限は980ドル前後での高下。独自の材料が見当たらず白金との
比価からの高下となっている。独自の手がかりに欠けるだけに、もちあい継続が予想さ
れる。
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