【前週のレビュー】ニューヨーク原油1月限は68〜70ドルのレンジもみ合い。チャ ート上はどちらにレンジを放れるのかが目先の焦点となるが、このままレンジ取引を続 ける可能性もあるものの、来年の需給緩和見込みが根強いため、どちらかと言えば下振 れリスクを考えておきたい。相次いで発表される月報で弱気の見通しが示されれば、そ の可能性が高まるだろうとした。 【NY原油はレンジ取引のなかで上昇中】 ニューヨーク原油は結局、レンジ内での取引だが、直近はそのレンジ上限を試す展開 となってきた。1月限は19日に納会となるため、今後は2月限が指標限月となるが、 その2月限は66ドル台後半から70ドル近辺のレンジ取引となっており、直近は上限 の70ドルの節目を試す展開となってきた。差し当たり11月22日の高値71.02 ドル、それを上抜くと11月7日の71.97ドル辺りが上値目標となる。なお本稿執 筆時の13日午後時点では69ドル台後半で推移している。 時期的にこれからクリスマスシーズンに入ることで様子見ムードが強まりそうだが、 指標限月か変わることで、新たな仕掛けが見られるのかが注目される。ただ後述するよ うに、来年の見通しは需給面での弱気の認識が市場のコンセンサスとなってきているた め、強気の見方を予想する向きは多くない。もちろんイベント(産油国の地政学的リス クの高まり、米国の寒波襲来など)発生時には高騰の可能性もあるが、それらはあって も一過性のものにとどまりそうだ。 現に直近では中東地域でアサド政権の崩壊というビッグニュースがあり、買い口実と なったものの、実際の供給懸念を伴うものではないため、これもこのまま一過性の材料 として終わりそうだ。 産油国側のニュースとしては、むしろサウジアラビアが来年1月のアジア向け公式販 売価格(OSP)を各油種ともに引き下げて、アラビアン・ライト原油が新型コロナ流 行時の2021年1月以来の低水準となっていることが現物市場の弱さを反映したもの として受け取られている。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万5000ドルの過去最高水準か ら反落基調。直近は4万4000ドル台割れまで下落している。 ドルインデックスは再びドル高基調が鮮明になってきた。直近は106ポイント台後 半まで上昇している。 【来年は日量95万バレルの供給過剰見通し=IEA月報】 統計物に目を移すと、11日の石油輸出国機構(OPEC)の月報では、今年の世界 石油需要見通しの伸びが前年比日量161万バレルと、前月の同182万バレルから、 来年の世界石油需要見通しの伸びも同145万バレルと、前月の同154万バレルから それぞれ下方修正された。これで5カ月連続の下方修正となる。 一方、12日の国際エネルギー機関(IEA)の月報では、今年の世界石油需要見通 しの伸びが同84万バレルと、前月の同92万バレルから下方修正。来年は同110万 バレルと、前月の同99万バレルから上方修正されたものの、供給増加で日量95万バ レルの供給過剰になるとみられている。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油の6番限である5月限は、ボリンジャーバンドの−2シグマ(6万3850 円辺り)近辺の安値から直近は1シグマ(6万7520円辺り)で頭打ち傾向なってい る。 ガソリン先限は名目値で8万円ちょうどの横ばいが続いている。 【NY原油のテクニカル】 ニューヨーク原油2月限は、ボリンジャーバンドの−2シグマ(66.65ドル辺 り)の少し上の安値から12日には高値で70ドル台に乗せて、2シグマ(70.45 ドル辺り)を伺うところまで上昇してきた。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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