【前週のレビュー】レンジから下放れする可能性があるとした。また、二転三転する トランプ米大統領による関税賦課に対する発言も売り材料になるとみた。 【売りが先行】 JPXゴムRSS3号は、軟調な相場となっている。活発限月の8月限は、2月5日 以降、360〜380円前後でのレンジ相場が続いていたが、レンジから下放れとな り、6日に347.6円まで下落し、一代の安値を更新した。現在のゴム相場は、ゴム 独自の材料ではなく、二転三転するトランプ米政権による関税賦課の動きを背景にマー ケット全体に広がっている透明感が売りを誘っている。また米国経済にスタグフレーシ ョン懸念が強まっている。目先、JPXゴムRSS3号は、下値を試しやすいとみる。 【一段の円高に注意】 ドル・円が昨年10月以来のドル安・円高水準に沈んでいる。ドル・円は、3月6日 に一時1ドル=147.32円まで下落し、昨年10月4日以来のドル安・円高水準と なった。その後の戻りも限定的だ。日銀が年内に少なくとも、あと1回の利上げが見込 まれる。また、ドイツ次期政権が財政規律緩和を打ち出したことにより独債利回りが急 上昇(価格は下落)している。ドイツの財政政策の歴史的大転換は、多くの国の債券に 波及し、特に利上げターンに入っている日本国債の利回り上昇は目立ち、日本10年債 利回りは10年ぶりの高水準となる1.554%まで上昇している。一方、米国では、 トランプ政権の関税に対する決定が再三変更されることから、マーケットが疑心暗鬼に なり、米国債利回りは低下傾向にある。 このため日米の金利差縮小やリスク回避の動きから、円買いが一段と強まる可能性が ある。ドル・円は、チャート的には崩れており、節目の146円付近まで特に目立った 支持は見当たらない。円高が一段進めば、JPXゴムRSS3号の売り材料になる。 【上海ゴムはレンジ相場形成か】 上海ゴムの中心限月の5月限は1万7000〜1万8000元台前後のレンジ相場を 形成しそうだ。5月限は、2月21日に一時1万8230元まで上昇し、終値ベースで 1万8060元となり、1万8000元を上抜いた。ただ、買いは続かず1万8000 元突破がダマシとなり、3月6日には1万7225元まで水準を引き下げる場面あがっ た。その後、1万7500元前後まで戻している。上値も重いが、積極的な売りもみら れない。目先、上値は1万8000元前後、下値は2月10日の安値1万7200元や 節目の1万7000元を意識したレンジ相場になるとみる。 【東京ゴム活発限月の8月限のテクニカル要因】 ゴムRSS3号の活発限月の8月限は、売りが先行した。2月からの値動きをみる と、2月3日に391.0円まで上昇したが、同水準で上値を抑えられると、一転して 売りが先行。5日に390円を割り込むと、12日は361.5円まで水準を引き下げ た。その後は370〜380円前後でのレンジ相場となっていたが、25日に終値ベー スで370円を割り込むと、27日に355.3円まで下落した。3月3日に365. 3円まで戻したものの、買いは続かず、上海安や円高を受けて、6日に347.6円ま で下落し、一代の安値を更新した。その後、350〜355円前後で推移している。 下攻めとなれば、3月6日に付けた一代の安値347.6円を試そう。安値更新とな れば、節目の345円やや340円を意識した展開になる。一方、反発するようなら、 360円台回復がポイントになる。360円台の回復に成功すれば、3月3日の高値3 65.3円や節目の370円を目指そう。 【今週の注目ポイント】 トランプ関税に注目したい。マーケットは、トランプ政権からの発せられる関税に対 するコメントから、右往左往している。中国との報復関税合戦が一段と深刻化すると、 JPXゴムRSS3号の売り圧力が強まだろう。 【相場予想レンジ】 3月10〜14日のJPXゴムRSS3号8月限の中心レンジ予想は335〜370 円。テクニカルの支持線は347.6円(3月6日安値)、抵抗線は360.0円(節 目)。 MINKABU PRESS ※投資や売買は御自身の判断でお願いします。
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