[4月7日からの1週間の展望] −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 週間高低(カッコ内は日) 2026 年 2 月限 3 月 31 日〜 4 月 4 日 始 値 高 値 安 値 帳入値 前週末比 金 14,972 15,253 ( 1) 14,426 ( 4) 14,656 -357 銀 166.5 166.5 (31) 152.0 ( 4) 153.0 -15.5 プラチナ 4,681 4,716 ( 1) 4,368 ( 4) 4,368 -316 パラジウム 4,600 4,750 ( 1) 4,600 (31) 4,600 0 ====================================== NY貴金属(カッコ内は限月) | 東京外為・株式/NY原油 4 日終値 前週末比 | 終 値 前週末比 金 ( 6) 3,035.4 -78.9 | ドル・円 146.04 4.62 円高 銀 ( 5) 2,923.0 -558.4 | 日経平均 33,780.58 -3339.75 プラチナ ( 7) 914.6 -81.5 | NY原油 ( 5) 61.99 -7.37 パラジウム ( 6) 907.60 -77.20 |* ドル・円は15時45分現在、原油は 4日 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【前回のレビュー】 金は貿易戦争に対する懸念が支援要因、とした。 金は米大統領の相互関税発表を受けて上値を試したが、リスク回避の動きが出ると、 利食い売りが出て上げ一服となった。現物相場は史上最高値3166.24ドルを付け た。金先限は上場来高値1万5253円を付けた。 トランプ米大統領は、世界の貿易相手国に対して相互関税を課すと発表した。米国へ の全輸出国に最低10%の関税を賦課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対 象に一段と高い関税率を適用するという。関税率は対中国が34%、欧州連合(EU) は20%、日本は24%、ベトナムは46%となる。このほか韓国は25%、インドは 26%、カンボジアは49%、台湾は32%となっている。カナダとメキシコは既に麻 薬密売と不法移民に関連した25%の関税を課せられている。中国の場合、合成麻薬フ ェンタニルの米国への流入に関して先に賦課された20%の関税と合わせると、税率は 計54%に達する。インフレと景気後退でスタグフレーションとなるとの懸念が高まっ た。カナダや中国、欧州連合(EU)が報復措置の可能性を示したが、ラトニック米商 務長官は非関税貿易障壁の撤廃を要求しており、交渉による解決は難しいとみられてい る。米大統領は、仮に他国・地域が何か「驚くべき」ものを提示することができれば、 関税引き下げにオープンであると述べた。また米大統領は閣僚や側近らに対し、実業家 イーロン・マスク氏が近く現在政権で果たしている「政府効率化省(DOGE)」を率 いる役職から退くと明かした。米政権の上級補佐官や閣僚、共和党議員らは、手続きや 慣例を無視するマスク氏の強引なやり方に嫌気が差している。 2月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.5%上昇した。前月の伸びと 同じで、市場予想と一致し、インフレ高止まりが示された。3月の全米雇用報告による と、民間部門雇用者数は15万5000人増加し、伸びが加速した。ただ関税による経 済不確実性の高まりを背景に労働市場が減速しているとのエコノミストの見方は変わら なかった。市場予想は11万5000人増。前月は7万7000人増から8万4000 人増に上方修正された。一方、3月の米ISM製造業購買担当者景気指数は49.0と 前月の50.3から低下し、3カ月ぶりに節目となる50を割り込んだ。市場予想は 49.5だった。米ISM非製造業総合指数は50.8と前月の53.5から低下し た。2024年6月以来の低水準となり、関税措置を巡る不確実性から第1四半期の経 済成長が大幅に減速するとの見方を裏付ける形となった。市場予想は53だった。3月 の米雇用統計で労働市場に対する見方を確認したい。 【金ETF残高は増加】 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は3日時点で 1128.60トンとなり、前週末比3.93トン増加した。米国で4.30トン、英 GBSで0.04トン、オーストラリアで0.03トン、南アで0.06トン増加、英 ETFSで0.50トン減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明 細報告によると、3月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万 9796枚となり、前週の25万7932枚から縮小した。今回は手じまい売りが 5082枚、新規売りが3054枚出て、8136枚買い越し幅を縮小した。 ロシアのリャプコフ外務次官は、ウクライナ戦争終結に向けた米国の提案は現状のま までは受け入れることができないとの認識を示した。ロシアが紛争の根本原因と考えて いる問題に対処していないためという。ロシアのドミトリエフ大統領特使はワシントン を訪問し、トランプ米政権メンバーと協議し、「確かに対話の回復は困難で緩やかなプ ロセスだ。ロシアの立場を本当に理解することで、投資や経済分野を含む建設的な協力 の新たな機会が開かれる」と述べた。一方、トランプ米大統領は、ウクライナのゼレン スキー大統領が重要鉱物資源協定からの撤退を望んでいると述べ、もし撤退すればゼレ ンスキー氏は大きな問題に直面するだろうと警告した。英仏独などのウクライナの主要 欧州同盟国の外相らは、マドリードで会合を行い、対ウクライナ支援を倍増させるとと もに、新たな対ロシア制裁を検討していると表明した。ゼレンスキー大統領は、同国へ の平和維持部隊派遣に寄与する用意が整った少数の国の代表との会合を4日に開くと明 らかにした。 【銀はリスク回避が圧迫】 銀の現物相場は貿易戦争に対する懸念を受けて戻りを売られると、米大統領の相互関 税発表によるリスク回避の動きを受けて急落し、3月3日以来の安値31.40ドルを 付けた。スタグフレーションに対する懸念が高まっており、貿易戦争の行方を確認した い。 3日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比91.98トン 減の1万3852.71トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建 玉明細報告によると、3月25日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは6万 0950枚となり、前週の6万2298枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上 回った。 当面の予定(イベント・経済統計) 7日 独貿易収支 2025年2月(連邦統計庁) 独鉱工業生産指数 2025年2月(経済技術省) ユーロ圏小売売上高 2025年2月(EUROSTAT) 8日 国際収支(経常収支) 2025年2月(財務省) 9日 政策金利公表(NZ準備銀行) 米FOMC議事録公表 3月18-19日(FRB) 10日 企業物価指数 2025年3月(日本銀行) 中国消費者物価指数 2025年3月(国家統計局) 中国生産者物価指数 2025年3月(国家統計局) 米新規失業保険申請件数(労働省) 米消費者物価指数 2025年3月(労働省) 米財政収支 2025年3月(財務省) 11日 独消費者物価指数 2025年3月確報(連邦統計庁) 英貿易収支 2025年2月(国立統計局) 英鉱工業生産指数 2025年2月(国立統計局) 米生産者物価指数 2025年3月(労働省) 米消費者信頼感指数 2025年4月速報値(ミシガン大) 建玉明細報告(CFTC) MINKABU PRESS 東海林勇行 ※投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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