【来週の注目材料】利下げに向けて米物価統計に注目=米CPI&米PPI 1日の7月米雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想を下回ったことに加え、前月、前々月が大きく下方修正されるという相当に厳しい結果となったことで、米国の早期利下げ期待が強まっています。米雇用統計前まで60%以上が据え置きを見込んでいた次回9月のFOMCは、利下げ見込みが94%と、利下げをほぼ完全に織り込むところまで期待が強まりました。年内の利下げ回数の見通しについても、雇用統計前までは1回と2回で見通しが拮抗という状況でしたが、雇用統計後は2回以上を完全に織り込み、3回の見通しと2回の見通しが拮抗という状況になっています。 こうした中、雇用状況と並んで米金融政策の決定に影響を与える物価の状況のうち、市場の注目度が最も高い米消費者物価指数(CPI)が8月12日に、生産者物価指数(PPI)が14日に発表されます。 まずは12日の7月米消費者物価指数(CPI)です。トランプ大統領からの厳しい利下げ圧力を受けても、パウエル議長が据え置きを続けてきた理由として、雇用の堅調さと、関税が物価に与える影響の不透明性があります。雇用の堅調さに関するデータへの信頼性が崩れる中、物価上昇圧力が見通しほど強まらないようだと、利下げに向けた動きが広がる可能性があります。 市場予想は前年比+2.8%と6月の+2.7%から小幅ながら伸びが加速となっています。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+3.0%とこちらも6月の+2.8%から伸びが強まる見込みとなっています。 6月から7月にかけて米国ではガソリン価格が低下しました(EIA全米全種平均で1ガロン=3.276ドルから3.250ドル)。また昨年6月から7月にかけてはガソリン価格が上昇していたため、2024年の数字と比較する前年比では、実際の低下率以上にマイナスが大きくなるとみられます。その分、コアに比べて総合の伸びが鈍いとみられています。 コアに関しては関税の影響が警戒されます。前回6月のCPIをみると、コンピュータ、玩具、衣料、家電といった輸入品が目立つ項目で前月比の伸びが見られました。今回も同様の傾向が示されると、前年比でもしっかりした伸びが見込まれます。関税の影響が思った以上に大きく出て、コア前年比が予想を超える伸びを示した場合、9月の利下げはともかく、その後12月まで3会合連続利下げは難しいという見方が広がり、年内2回の利下げ見通しが強まる形でドル買いとなる可能性があります。 なお、14日には7月の米生産者物価指数(PPI)が発表されます。市場予想は前年比+2.5%、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア前年比+3.0%と6月の+2.3%、+2.6%を上回る伸びが見込まれています。前回はともに市場予想を下回り、コア前年比は2024年8月以来の低い伸びとなっていました。 PPIに関しては全体の数字に加え、PCE価格指数の算出に利用される項目、医療や介護ケアなどヘルスケアサービス、ポートフォリオ管理費、航空運賃などの動向も注目されます。6月は強弱まちまちでした。 MINKABUPRESS 山岡
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