<金> NY金12月限は10月に入ってから3900ドル台に達した後、3900ドル前後 での高下が続いたが、6日の週に騰勢を強め、8日に4081ドルに達して指標限月と して史上最高値を更新した。9日は反落し、4000ドルを割り込んだが、3950ド ル台まで下押されたところで買い戻された。終値で3990ドル台を記録しており、下 落に対する抵抗の強さも窺わせている。 米国では8月1日の相互関税の上乗せ分の発動以来、インフレ加速化に対する懸念が くすぶり続けている、同時に米雇用情勢がこれまで想定されていたよりも軟調だった 可能性が浮上している。 これまで関税引き上げによる輸入コストの増加分は在庫の消化や企業努力によって 抑制されてきたが、この価格抑制が企業の雇い控えや賃金の抑制など雇用に関わる部分 や、企業の収益面で影響が出る可能性が懸念され、米経済に対する不安感を強める一因 になっている。 米国内総生産(GDP)の70%程度を占める個人消費は今のところ堅調だが、一部 の裕福層がけん引しているとの見方もあり、輸入コストの価格への転嫁が続くようであ れば、今後、個人消費が落ち込む可能性がある。 この環境下、つなぎ予算が不成立となったことで米政府機関の一部が閉鎖されてお り、主要な経済指標の発表も見送られている。米政府機関の再開は予算の成立を待つ必 要があるが、現時点では米政府の再開がいつになるか見通しが立たず、閉鎖の長期化に よる米経済へのネガティブな影響も警戒される。 CMEのFedwatchは10月9日時点で10月開催の公開市場委員会(FOM C)での追加利下げを予想する比率は94.1%に達している。ただ、今月は米雇用統 計など主要な経済指標の発表が見送られているため、米政府機関の一部閉鎖がいつ解か れるかにかかっているが、FOMCが開催される10月28〜29日まで追加利下げを 実施するには根拠となる材料が乏しい状況が続く可能性もある。 ガザの停戦により地政学不安が後退していることはNY金市場にとって弱気要因なが ら、9日の下落で弱材料は既に消化された可能性が高い。 米経済への懸念が深まるなかで新たに米政府機関の一部閉鎖が実施され、これが米金 融政策に与える影響も警戒されることから、引き続き安全資産を求める根強い動きが見 られ、NY金12月限は9日の安値3957.9ドル、または3950ドルを支持線に 大局的な強気相場を維持すると予想する。 <銀> NY銀12月限は史上最高値を記録した金に追随高となり、9日に4996.5ドル の高値を記録している。 米トランプ政権による関税引き上げの影響から米製造業は長期の設備投資などが控え られており、工業用としての銀需要にとっては重石となっているものの、安全資産を求 める動きが金価格を押し上げていることが買い支援要因になっている。 引き続き金との連動性が意識されるなか、今月2日の安値4571セントが支持線と して意識されるなか、下値は堅く、推移すると予想される。 <白金> NY白金1月限はNY金の高騰が続くなか、これに追随する買いが見られて9日には 1725.7ドルに達している。 米国で10月下旬の公開市場委員会(FOMC)での追加利下げが見込まれているう え、NY金は安全資産を求める動きに支えられると見られる。 高値を離れたことで目先の買い一巡感が強まる可能性はあるが、NY金が高値圏で堅 調に推移に支援され、1月限は1600ドル接近で押し目買いが喚起されると予想。9 日のLME市場は10月下旬に開催の中国共産党会議において新たな経済成長策の方針 が示されるとの期待から銅が大幅高となった。プラチナも産業需要の多いコモディティ であり、今後の中国の景気テコ入れ策、景気見通しの影響を受けよう。 <パラジウム> NYパラジウム1月限は10月3日まで1300ドル前後で上値を抑制される動きと なっていたが、6日の週を迎えてから上げ足を強めて9日に1549ドルに達し一代高 値を更新した。 独自の材料に乏しいなか、他非鉄貴金属の上昇に連動する動きを見せている。NY金 がけん引役となって貴金属全体を下支えると見られるだけに、NYパラジウム1月限も 1400ドル前後で押し目底を模索し、底堅い動きが想定される。 MINKABU PRESS
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