ドル円、一時156円台前半まで下落 ロング勢も一旦後退=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが優勢となり、一時156円台前半まで下落する場面も見られた。前日は158円をうかがう展開を見せていたものの、ロング勢も一旦後退しているようだ。ここ数日の急速な上昇に過熱感も高まる中、本邦勢も明日からの3連休を前にロングポジションを軽くしていたのかもしれない。 本日はウィリアムズNY連銀総裁の発言が伝わり、「近いうちに再び利下げを行う余地がある」と述べていた。総裁の発言を受けて、短期金融市場では12月利下げの確率を75%まで一気に上昇させている。為替市場もドル安の反応が出ていたが、大きな動きには至っていない。 基本的な雰囲気に変化はない。FRBの12月利下げは見送られるとの観測が根強いほか、日銀の年内利上げも見送られるとの観測もある中、日米の金利差縮小は想定よりもペースが遅いと見られている。日銀については、日経新聞が日銀の増(ます)審議委員のインタビューを報じており、「利上げ判断が近づいている。何月かは言えないが、距離感としては近いところにいる」と述べていた。その報道も円の買い戻しを誘発していたようだ。 円キャリー取引の流れに変化はないと思われるが、来週は感謝祭ウィークでもあり、来週にかけてドル円も持ち高調整が出る可能性はありそうだ。 ユーロドルは売りが続き、サポートとして意識された1.15ドルを一時割り込んだ。本日で6日続落。ECBの利下げサイクルはすでに終了する中、ドルがユーロドルのドライバーとなっているが、ドル高が続いており、ユーロドルを押し下げる動きが続いている。一方、ユーロ円はドル円とともに戻り売りに押され、180円を割り込む場面も見られた。 本日は11月調査のユーロ圏PMI速報値が発表になっていたが、製造業が再び50を割り込んでいた一方、サービス業は予想を上回るなど、複雑な状況を示している。エコノミストは「全体的には上向きを示しているが、過去のサイクルで経済回復の原動力となった製造業部門はまだ勢いを得ていない」と指摘。ただ、来年初からドイツで予想される財政刺激策が状況をいくらか明るくする可能性はあるとも付け加えている。 また、ECBがこの日、第3四半期のユーロ圏の妥結賃金を公表。前年比1.9%上昇となり、第2四半期の4.0%から大幅に減速し、予想も下回った。賃金の伸び減速が確認されており、ECBが言及している「根強いサービスインフレは緩和する」との見通しを裏付ける結果となった。 ポンドドルはNY時間に入って買い戻しが出ており、1.31ドル台に下げ渋った。下向きの流れは続いており、本日も一時1.3040ドル近辺まで下落していたものの、1.30ドル台は維持された格好。ただ、上値は重い。一方、ポンド円は戻り売りに押されており、204円台前半まで下落する場面もみられていた。ドル円の下落と伴に円ショートの調整が出ているようだ。 この日発表の英小売売上高や英PMIといった英経済指標は全般的に弱い内容となっていたが、来週の予算案の発表を控えて、景気の先行きへの不透明感が広まる中、英経済は拡大に苦戦していることが示されていた。 リーブス英財務相が来週秋季予算案を公表するが、所得税増税は断念との報道もあったものの、予算案は景気の先行きへの重荷となる可能性が高いと見られており、「ポンド売りが正しいトレードになる」との見方も出ている。「どうしても回避できない結論は、景気を収縮させる方向になるということだ」という。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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