ドル円は買戻し優勢 感謝祭前で様子見の雰囲気も=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円は買戻し優勢 感謝祭前で様子見の雰囲気も=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は買戻しが優勢となり、一時156.75円付近まで上昇。米新規失業保険申請件数が予想を下回り、4月半ば以来の低水準となったことで、序盤はドル高の反応が見られていた。ただ、市場ではFRBの12月利下げ期待が復活し、短期金融市場ではほぼ確実視している状況。感謝祭前で様子見の雰囲気も広がる中、156円台半ばに緩やかに伸び悩む動き。

 一方、日本の財政不安が燻る中、円は短期的に軟調な局面が続くとの見方も根強く、ドル円は下値されている。ただ、以前のような一辺倒の上昇の雰囲気はない。

 高市首相の21兆円規模の景気対策は、生鮮食品を除くインフレを鈍化させる公算が大きいとの指摘がエコノミストから出ている。今回の対策にはガソリン税・軽油税の暫定税率の廃止など、物価上昇を抑制する措置が含まれている点を指摘。これらの措置により生鮮食品を除くインフレが一時的に0.6ポイント程度低下すると予想している。

 生鮮食品を除くインフレは来年2月には2.0%を下回り、その後しばらくは1.5-2.0%のレンジに留まる可能性が高いとも付け加えた。来年1月の日銀の利上げを引き続き予想しているが、その後は2027年1月まで実施されないと見ているという。

 ユーロドルはNY時間に入ってやや値を落とす場面が見られたものの、買戻しの流れは続き、一時1.16ドル台に上昇する場面も見られた。ここ来てFRBの利下げ期待が再浮上する中、今週に入ってユーロドルは下げ渋る動きが見られている。目先は1.16ドルをしっかりと回復し、強い上値抵抗も観測されている1.16ドル台半ばの水準を回復できるか注目される。一方、ユーロ円は反発しており、181円台を回復。円安が一服し、先週は180円を割り込む場面も見られていたが、しっかりとユーロ発足以来の高値水準を維持している状況。

 先日の第3四半期のドイツGDP以降、ドイツ経済への不透明感が指摘されている。GDPは前期比で横ばいに留まり、個人消費と純輸出が足を引っ張っていた。財政刺激策の効果が出るにはしばらく時間がかかるとの指摘も出ている。

 一方、ドイツ経済の回復を諦めるのはまだ早く、26年以降は力強い成長が期待できるとの見方も出ている。GDPにおける個人消費の落ち込みは急激だったが、弱さを過大に表していると指摘。企業調査では成長基調の環境が明るくなっていることが示されおり、借り入れが急速に拡大し、設備投資安定化の明確な証拠もあるという。ただし、在庫調整のリスクは残っているとも付け加えている。

 ポンドドルは上下動の末、買い戻しが優勢となった。今月中旬に上値を抑えた1.32ドルの水準を回復し、日足チャートはダブルボトムを形成している。ポンド円は207円台に上昇し、7月以来の高値を回復。

 注目のリーブス英財務相が秋季予算案を発表。それに伴って英予算責任局(OBR)も経済・財政見通しを公表。市場は警戒していたものの、主要な財政規則に対する財政余力は3月の99億ポンドから220億ポンドに拡大した。2022年3月以来の大きさで、予想コンセンサスの150億ポンドも大きく上回った。261億ポンドの増税を表明し、所得税の課税標準額の3年間凍結のほか、ギャンブルや高級不動産に対する新税なども寄与する。

 ただ、不満も多い模様。主要な増税は後ろ倒しされ、今回の予算案は厳しい選択になると見込んでいた向きには期待外れとなった。一方、所得税の課税標準の凍結で、推定170万人以上がより高い税率の対象となる。エコノミストからは、「今回の予算案は低迷する成長、低い信頼感、歪んだ税制によって資金調達されている肥大化した公共部門の問題に真剣に取り組むものではない」との評価も出ている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。