弱い米指標でドル安が優勢に ドル円は155円割れを試す展開も=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル安が優勢となり、ドル円は155円割れを試す展開も見られた。155円台をかろうじて維持したものの上値は重い。この日のADP雇用統計やISM非製造業景気指数が、来週の米利下げ期待を裏付ける内容となったことで、改めてドルは売られていた。 特にADP雇用統計は予想外の減少となり、企業が23年初め以来、最大の雇用削減を行い、労働市場の弱さを示した。米大手証券のストラテジストからは、「ドルは現在の割高なバリュエーションに値しない」とし、年内は上値の重い展開が続くとの見方も出ていた。 一方、円相場は日銀の早期利上げ期待が急浮上しており、円安は一服。これまでの円キャリー取引に伴う円ショートも相当程度積み上がっており、円の下値ではポジション調整の買戻しも散見される模様。ただ、円安への期待は根強い。例え日銀が今月に利上げを実施したとしても、円安の流れを本格的に反転させる可能性は低いとの指摘も出ていた。 日本の財政面での逆風が引き続き円を圧迫し、市場も来年の追加利上げまでは、強く織り込めていない状況。今月の利上げ後に一時的に円が反発したとしても、それは戻り売りの好機となる可能性が高いという。 ユーロドルは買い戻しが続き、一時1.1675ドル付近まで上昇。10月下旬以来の高値を更新した。100日線を再び上回り、チャートもダブルボトムを形成しそうな気配が出ている。一方、ユーロ円はドル円の下げに追随する格好で180円台に下落する場面が見られた。 オプション取引の価格形成やポジション状況も、この上昇がさらに続く余地を示しているとの指摘が出ている。年末にかけたユーロドルのオプション取引は強気のセンチメントが2週間ぶりの高水準となっており、取引量も約2カ月ぶりの高水準へ上昇。 また、欧州ではエネルギー価格の軟化がユーロ圏の交易条件を押し上げ、ドル資産に対するユーロの為替ヘッジコストが低下している。ストラテジストは「コスト低下により、ヘッジ比率が僅かに上昇するだけでも相応のドル売りが発生する」と試算している。その上で「今後数週間はショート勢の買い戻しに注意すべきだ」と指摘した。 ポンドドルは買いが強まり、1.33ドル台半ばまで上昇。200日線を上回って来ており、明日以降の動きが注目される。一方、ポンド円は円買い戻しが見られていたものの、買いが優勢となり、207円台を回復する場面も見られた。 先週の予算案を受けて、国民に誤解を招いたとの批判がリーブス英財相に出ており、野党が辞任を要求している。ストラテジストは、もし財務相の辞任の可能性が高まる兆候が示されれば、ポンドは今後数週間で下落するリスクがあると述べている。 予算案の余波はまだポンドに大きな影響を与えていないが、予算責任局(OBR)のヒューズ局長が予算案発表時のミスで辞任していたが、市場ではリーブス英財相まで飛び火するのではとの不安もあるようだ。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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