【これからの見通し】米雇用統計発表も、トランプ大統領の動向にかき消されるか 今週はかなり変動の激しい展開となっている。ドル相場が流れを主導しており、米FOMCを控えてドル高が進行した後、0.25%利下げの発表後にはドル高からドル安へと流れが目まぐるしく転換している。米中閣僚級通商協議では2日目の協議が5時間で終了しており、目立った成果は得られかったようだ。 昨日には突然、トランプ米大統領が新たに3000億ドルの中国製品に1対して0%の追加関税をかけると発表、市場はネガティブサプライズの動きが広がった。ドル円の上昇は109.32レベルでピークアウトし、米債利回りの低下とともにドル安・円高方向に傾斜した。今日の東京朝方には106.85レベルまで下押しされた。前日の米株急落を受けて、今日の日経平均も一時21000円台割れとなる混乱した相場となった。 この後の海外市場では、トランプ米大統領が日本時間3日午前2時45分にEU貿易に関して発表すると報じられており、その内容が注目される。中国に追加関税を課すると表明したあとだけに、EUに対してもデジタル関税への報復として、農産物や自動車などで強い圧力をかけてくることが予想される。リスク回避動向が再び強まることが懸念される状況。 また、きょうは7月の米雇用統計が発表される。週初から注目されるイベントとなっていたが、トランプ大統領の言動の方が市場に与えるインパクトは大きいかもしれない。また、米金利動向に関しても、市場は9月利下げ観測を高めてきており、金利先物市場では8割程度の利下げ確率となっている。トランプ大統領とともに市場からも利下げを迫られる現在の米金融当局となっている。 米雇用統計では非農業部門雇用者数が注目されている。事前予想は16.5万人増となっており、前回の22.4万人増から鈍化する見込み。今年に入ってからは予想レンジを外れる大きめの変動がみられる傾向にあり、予想数値に対する信頼度は低くなってきているようだ。失業率は3.6%と前回の3.7%からさらに改善する見込み。賃金動向は、週平均時給の伸びが前月比+0.2%、前年比+3.1%と前回並みの伸びが見込まれている。 その他には、米貿易収支(6月)、米製造業新規受注(6月)、米耐久財受注・確報値(6月)、米ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(7月)などの米経済指標や、カナダ国際商品貿易(6月)が発表される予定。米企業決算では、エクソンモービルの発表が注目されている。 この後のロンドン・欧州市場では、ユーロ圏小売売上高(6月)、ユーロ圏生産者物価指数(6月)などが発表される。 minkabu PRESS編集部 松木秀明
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。