[Vol.1021] ゲタを足かせにしたFOMC

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。72.66ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,779.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は12,670元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年08月限は461.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで723.75ドル(前日比8.55ドル縮小)、円建てで2,557円(前日比8円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月22日 19時6分頃 先限)
6,318円/g 白金 3,761円/g
ゴム 232.3円/kg とうもろこし 34,100円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ゲタを足かせにしたFOMC」

前回は、「テーパリングは、「徐々に細くすること」の意」として、米国における金融緩和の現状と、先週16日(水)のFOMC後の会見前後の主要銘柄の値動きについて書きました。

今回は、「ゲタを足かせにしたFOMC」として、先週のFOMC後の会見後のコモディティ市場全体の状況について書きます。

先週、FOMCの会見後、これまで享受してきた金融緩和策による恩恵がなくなってしまう可能性が生じたことを嫌気し、幅広い銘柄が下落しました。今回のFOMCが与えたコモディティ市場への影響、という点で見ると、以下のようになると、筆者は考えています。

今回のFOMCは、これまで景気回復期待増幅および代替通貨需要増加要因となり、コモディティ市場の全体的な底上げ要因として作用してきた「主要国の金融緩和」というテーマを、一時的に、逆向きの下落要因にしたと、考えられます。

米国の金融政策が、今回のFOMCを機に、「ゲタ」(実力以上の水準に価格を上昇させる要因)から「足枷(あしかせ)」(実力並みあるいは実力以下の水準に価格を下落させる要因)になったイメージです。

とはいえ、2020年3月に発生した阿鼻叫喚の総売り「新型コロナショック」のような状況ではありません。幅広い銘柄が下落しましたが、下落の度合いに濃淡があります。逆に上昇している銘柄もあります。

市場は一時、FOMC後の会見を受け、強い悲観的なムードに包まれましたが、実際の各種銘柄の値動きを見てみると、強い悲観的なムードだけが変動要因ではないように、感じます。

もう少し深掘りをして、状況を確認する必要がありそうです。次回以降、同会見後の各種銘柄の値動きについて、詳細を確認します。

図:足元のコモディティ市場全体の状況


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。