FOMCを受けた金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 9月にはイスラエルの再選挙、メキシコ『制裁関税』発動の最終結論期日、10月には日本の消費増税、英国の合意なきブレグジット懸念、中国建国70周年(国慶節1~8日)に合わせた香港の大規模デモ計画など波乱要因が控える。

 世界各地で不安定な状況は継続しており、FOMC絡みで付けた金の押し目は、中期的な買い場となるだろう。

 FOMCやパウエル議長会見を受けて、米長短金利差が縮小したが、過去を振り返ると、10年債-2年債の逆転が起きてから、しばらくするとリセッション入りとなっている。米好景気サイクルは、過去最長を記録中で、日柄からは、青信号から黄色信号へ移行している状態だ。

 東京市場は、10月の消費増税が決定したことで、消費増税の差額狙いの買いも観測される。特に、今回は秋口に様々な政治リスクの高まりも懸念されており、消費増税前に買い仕込んでおこうという動きが顕著です。

 7月FOMC後に、円安ドル高が進行しているが、過去の8月のドル円の騰落率を振り返ると、円高傾向が確認できる。

 国際通貨基金(IMF)は7月17日に公表した年次報告書で、ドルは短期ファンダメンタルズに基づくと6─12%過大評価されているとの見解を示している。ナバロ米大統領補佐官(通商担当)が7月23日に米中貿易交渉を有利に展開することなどを目的としたドル切り下げを提案したが、トランプ米大統領らが却下したと報じられた事が、今回の円安ドル高の一因でもあるが、トランプ大統領は否定するような発言もしており、日米貿易協議での円高圧力には、注意を払いたいものの、東京市場は海外高が円高を相殺しそうだ。終値ベースで5,000円にしっかりと乗せてくると、長期の三角保合い上放れが意識される。
 
NYダウとFF金利
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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