[Vol.1060] 金(ゴールド)を手元に置く理由[4]

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。63.27ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,783.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年01月限は14,240元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年10月限は405.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで812.2ドル(前日比0.3ドル拡大)、円建てで2,846円(前日比35円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月20日 18時55分頃 先限)
6,281円/g 白金 3,435円/g
ゴム 212.0円/kg とうもろこし 34,260円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)を手元に置く理由[4]」

前回は「金(ゴールド)を手元に置く理由[3]」として、「家族のための運用」を考える上で重要な日本の置かれている位置を確認しました。

今回は「金(ゴールド)を手元に置く理由[4]」として、「家族のための運用」を考える上で重要な日本の状況を、人口推移の予測から確認します。

以下の通り、日本の人口はすでに減少期に入っています。国立社会保障・人口問題研究所の予想では、本格的な減少は2030年ごろ以降に始まり、それ以降、生産者人口(15歳から64歳)を中心に、毎年70万人から100万人程度減少するとされています。

また、今からおよそ80年後の2100年には、6000万人を下回り、現在のほぼ半分になるとされています。こうしたことが予想される中、年金制度の「支え」の強さがどう変化するのかを知るべく、高齢者(65歳以上)1人を何人の生産人口で支えているのかについて調べました。

高齢者1人を支える生産人口は、1970年から2020年にかけて9.8人から2.0人に減少しました。これは単純計算で、生産人口の1人あたりの負担がおよそ5倍になったことを意味します。(高齢者1人あたりを支えるために必要な金額が変わらなかった場合)

2020年から2070年までの見通しをもとに計算すると、高齢者1人を支える生産人口は2.0人から1.3人に減少し、単純計算で、生産人口の1人あたりの負担がおよそ1.5倍になります。

負担の全てを生産人口が負担するわけではありませんが、給与から天引きされる社会保障費(健康保険料、厚生年金保険など)の額が、長期的に増える傾向にあることは、多くの日本国民が実感していることだと思います。

こうした、年金不安の度合いが、われわれの子供の方が大きくなることが、過去数回で述べた「家族のための運用」の動機の一つになると、筆者は考えています。

図:日本の人口推移予測 単位:百万人


出所:国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。