[Vol.1068] 積立投資とはなにか?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反落などで。68.61ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,813.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は13,845元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年10月限は437.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで805.7ドル(前日比1.7ドル拡大)、円建てで2,849円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月1日 18時13分頃 先限)
6,420円/g 白金 3,571円/g
ゴム 209.0円/kg とうもろこし 34,100円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「積立投資とはなにか?」

前回は「テーパリングでも金価格上昇はあり得る」として、現在の金(ゴールド)市場における、複数のテーマの状況について、筆者の考えを述べました。

今回から数回にわたり、金やプラチナなどへの投資手法の一つでもある、積立について考えます。今回は「積立投資とはなにか?」として、積立と都度投資の違いなどについて書きます。

積立投資の効率を最大化するための条件は、2つあります。「効率的に数量を増やすこと」、そして「効率的に収益化すること」です。そして、これらの条件を満たすためには、価格が「今は低位安定」そして「最後に上昇」することが必要です。

この意味では、「今」、派手に急上昇している銘柄を、「長期を前提とした積立投資」のために選ぶことは得策とは言えません。

「数量を効率的に増やすこと」に必要な「今は低位安定」に反するだけでなく、「増やした数量を効率的に収益化すること」に必要な「最後に上昇」の実現難易度が高くなるためです。

派手に上昇している銘柄は耳目を引くため、資産形成の第一歩(とっかかり)としては良いかもしれません。しかし、それはあくまでも第一歩です。その銘柄を未来永劫、保有し続けることは避けなければならないと、筆者は思います。

派手な上昇が未来永劫続くのか?という問いに対し、続く、と答える専門家は少ないでしょう。相場には波があるためです。

どの市場も一様に派手な動きをした古き良き時代を経験した人の中には、続くと答える人はいるかもしれませんが、2000年代も20年以上経過した今、あの頃の常識は通用しないと考えるべきです。

世の中がコロナ禍入りしたことをきっかけに積立投資を始めた方の中で、米国の株価指数に連動することを目指した投資信託のみを積み立てている方は特に、そろそろ積立をする対象を見直してもよいように思います。(スポット投資・都度投資ではなく)

以下は、都度投資(スポット投資)と積立投資の違いです。時間、心理、背景、収益など、さまざまな切り口でとらえても、両者が異なることは明白です。積立投資とはどのようなものなのかを考える際は、都度(スポット)と切り分ける必要があります。特に、収益の箇所は重要です。

次回以降、大人気投資信託の、「新型コロナショック」直後の2020年4月から2021年8月までの基準価額と、その逆(1万円を基準に試算)の推移をもとに考えられる、積立投資の鉄則、そして今後、有望とみられる積立ができる銘柄について述べます。

図:都度投資と積立投資(筆者イメージ)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。