[Vol.1078] 20年の節目 世界で起きた変化を振り返る

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。71.39ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,802.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は13,775元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年11月限は467.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで872.1ドル(前日比3.7ドル拡大)、円建てで3,061円(前日比35円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月15日 18時43分頃 先限)
6,326円/g 白金 3,265円/g
ゴム 203.8円/kg とうもろこし 33,930円/t

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「20年の節目 世界で起きた変化を振り返る」

前回は、「20年の節目 過去の常識を捨てなければならい」として、米国で発生した同時多発テロ後20年間の、コモディティ(商品)と株価指数の値動きに注目しました。

今回は、「20年の節目 世界で起きた変化を振り返る」として、米国で発生した同時多発テロ後20年間に発生した、世界全体における様々な変化について、書きます。

例えば、この20年間で起きた大きな変化を挙げると、以下のようになるでしょう。市場はこれらを飲み込みながら、推移してきたわけです。

この20年間に起きた変化を考えた時、筆者の頭にある問いが浮かびました。こんなにも多くのことが起き、こんなにも世の中が変化する中で、「定石」「定説」「常識」が変わらないことなど、あるのだろうか? 20年前の常識を今、そのまま用いることが有効か? という問いです。

価格の上昇は、「景気がよい」「需要が旺盛である」ことを示す。このことは、経済学的には「常識」であるわけですが、この20年の間、景気が悪くても、需要が落ち込んでも、価格が上昇する場面を、筆者は何度も見てきました。

価格上昇が、必ずしも人類が(特に市場関係者が)期待する、景気の良さや需要の旺盛さを示さない事例が増えたのは、この20年間に、上記のような多数の大規模な変化が絶え間なく起き、市場を含む世の中全体を取り巻く環境が変化したからだと、筆者はみています。

心の奥底で「よりどころ」「すがるもの」を欲する人という生き物が持つ、「期待の前借り」の特性が、特に近年、市場に反映していると思えてなりません。

価格が足元の実態と激しく乖離(かいり)している今こそ、20年間の変化を直視した上で、「投資脳」を一度再構築し、市場分析にあたることが、必要だと考えます。

こうした取り組みは、多少の煩雑さを伴うものですが、20年間の激動と言える変化を経て市場が「複雑化」してきたことを考えれば、市場関係者や投資家も、そうした市場の変化に合わせて、考え方を変えていかなければならないでしょう。

図:この20年間で起きた大きな変化(例)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。