[Vol.1077] 20年の節目 過去の常識を捨てなければならい

著者:吉田 哲
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原油反発。米国の原油供給減少懸念などで。70.86ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,793.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は13,780元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年11月限は464.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで841.55ドル(前日比3.6ドル拡大)、円建てで2,972円(前日比0円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月14日 16時57分頃 先限)
6,330円/g 白金 3,358円/g
ゴム 203.6円/kg とうもろこし(まだ出来ず)

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「20年の節目 過去の常識を捨てなければならい」

前回は、「銀の太陽電池向け需要は10年で大きく成長」として、太陽電池向けの銀の需要動向と、今後の銀価格の超長期的な推移の見立てについて書きました。

今回は、「20年の節目 過去の常識を捨てなければならい」として、米国で発生した同時多発テロ後20年間の、コモディティ(商品)と株価指数の値動きに注目します。

2001年9月11日(火)の朝(日本時間同日夜)、米国東部の複数の主要空港から同国西海岸に向けて飛び立った4機の旅客機が、合計20名弱のイスラム過激派組織「アルカイダ」のメンバーによってハイジャックされました。

アメリカン航空11便はニューヨークのワールドトレードセンターの北棟に、ユナイテッド航空175便は同南棟に、アメリカン航空77便はバージニア州の米国防総省に激突し、ユナイテッド航空93便はペンシルベニア州のピッツバーグ郊外に墜落しました。

死者およそ3,000名、負傷者2万5,000名以上、物的被害100億ドル超。米国史上最悪となったテロ事件は、アフガン紛争、イラク戦争のきっかけになりました。あの日から20年を迎え、わたしたちは何を感じ、何を考えればよいのでしょうか。

市場および投資関連情報を扱う筆者としては、この20年の間に、市場で起きたことを振り返るべく、コモディティ(商品)市場の全体像を示す代表的な指数であるCRB指数に注目しました。明るいニュースも暗いニュースも、ありました。こうしたニュースを消化しながら、市場は動いてきました。

以下のグラフのとおり、2012年ごろから、株価とコモディティ(商品)価格の連動性が低下しています。欧州の債務危機や北アフリカ情勢が悪化しても、逆オイルショックが発生しても、株価は下がることが許されなくなっているかのように、上昇し続けています。

なぜ、株価とコモディティ(商品)価格の連動性が低下したのでしょうか。なぜ、株価のようにコモディティ価格は大暴騰していないのでしょうか。景気は本当に良いのでしょうか(株価は景況感を正しく反映しているのでしょうか)。さまざまな疑問がわいてきます。

もはや、市場環境が「複雑化した」と認識せざるを得ないでしょう。20年間の値動きを振り返り、改めて認識させられたのは、市場が「複雑化」したこと、そして、分析の際は「過去の常識」を捨てなければならないこと、でした。

図:2001年以降の商品(コモディティ)価格と主要株価指数の値動き(ともに月足 終値) 2001年9月を100として指数化


出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。