[Vol.2073] 4,000ドルと2万円は2年前の2倍以上

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。58.12ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。4,146.97ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年01月限は14,845元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年11月限は448.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2461.82ドル(前日比20.62ドル拡大)、円建てで12,631円(前日比35円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月14日 18時30分時点 6番限)
20,540円/g
白金 7,909円/g
ゴム 312.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「4,000ドルと2万円は2年前の2倍以上」
前回は、「次期首相は真の物価高対策に着手できるか?」として、日本の原油輸入単価・ドバイ原油(2000年を100)およびドル円相場を、確認しました。

今回は、「4,000ドルと2万円は2年前の2倍以上」として、NY金先物、大阪金先物の価格推移(2023年10月2日を100)を、確認します。

2025年10月の2週目に、ニューヨークの金先物価格(中心限月)は、1トロイオンスあたり4,000ドル台に到達しました。ほとんど同じタイミングで大阪の金先物価格(中心限月)は、1グラム当たり2万円台に到達しました。

こうした大台は、ニューヨーク、大阪ともに2年前の2倍以上の水準です。足元、米国の金利引き下げ観測、ウクライナ・中東情勢や米国の政府機関の閉鎖への懸念、米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)に関する不安など、さまざまな要因が重なっていることが、大台到達のきっかけとなったと報じられています。

さまざまな要因の中で、最も大きい上昇圧力を発生させた要因は、図の左側に示したとおり、2023年12月に、FRBが議論の方針を利上げから利下げに転換したことだと、筆者はみています。利下げは、米ドルの保有妙味を低下させ、相対的に金(ゴールド)の保有妙味を大きくする要因です。

それまでの数年間、FRBは利上げの方針を維持していました。このことにより、ウクライナ戦争が激化して有事(伝統的)ムードが拡大したタイミングでも、ニューヨーク金先物の価格が下落する場面がありました。「ドル高・ドル建て金(ゴールド)安」の構図が存在したためです。

金(ゴールド)相場にとって重要なことは、FRBが利上げや利下げを実施することではなく、FRBの方針が利上げ・利下げのどちらであるかです。その意味で、利下げムードを醸成しているトランプ大統領の姿勢も、ニューヨークの先物などのドル建て金(ゴールド)に上昇圧力をかけていると言えます。

図:NY金先物、大阪金先物の価格推移(2023年10月2日を100)
図:NY金先物、大阪金先物の価格推移(2023年10月2日を100)
出所:マーケットスピードIIおよびInvesting.comのデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。