週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.06ドル高の73.40ドル、ブレント原油は2.02ドル高の77.48ドルとなった。

 前週末17日は下落した。ハリケーンアイダの影響で停止した油田再開の可能性が圧迫材料となり利食い売り優勢となった。

 週明け20日は大幅に下落。中国不動産大手 恒大集団の利払いに対する懸念から金融市場がリスク回避的な動きとなったことに圧された。シェルは米海上油田の停止が長期化することを明らかにするなど原油市場には強材料もあった模様。翌21日は小幅に反発した。引き続き、中国恒大に対する懸念に上値を抑えられた。22日は大幅に上昇した。中国恒大が元建て利払いの実施を表明したことによるリスク回避後退やFOMCの声明公表後株式市場が騰勢を強めたことから上昇した。同日発表のEIA石油統計では原油が348万B減少、ガソリンが347万B増加、留出油は255万Bの減少とまちまちで原油においては予想を下回る減少幅となった。翌23日は続伸した。前日の原油在庫減少や世界的に投資不足や供給障害による原油増産の難しさなどを材料に買いが優勢となった。週末24日も堅調な推移を継続している。



 中国不動産大手 恒大のデフォルト懸念での下落後、ハリケーンアイダからの生産回復遅れ等による需給の強さから切り返す動きとなった。翌週以降も中国ネタは再燃する恐れはあるものの、シェルの海上油田の停止が長期化することが発表され、メキシコ湾を中心に供給の混乱が長期化する可能性が高いと思われ、目先は底堅い動きとなる可能性が優勢とみるべきか。また、天然ガス価格も高騰しておりこちらが今後原油をサポートするといった見方も出ているようである。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。