10月18日がXデー?(米債務上限問題)

著者:菊川 弘之
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 イエレン米財務長官は28日、10月18日までに連邦政府の債務上限が引き上げられなければ米政府は手元資金をやりくりする手段を失い、アメリカはデフォルト(債務不履行)に陥り、金利上昇と景気後退の引き金を引きかねないと警告した。

 債務不履行に陥った場合、「アメリカ合衆国に対する全幅の信頼と信用が損なわれ、金融危機や景気後退に直面する可能性が高い」と述べた。景気後退に加えて、債務上限の引き上げの失敗も金利上昇圧力になり、アメリカ人の利支払いや、政府の国債の利払いに影響を与えると付け加えた。

 民主党は代替策として、債務上限凍結と暫定予算の成立に向けて、連邦政府の借り入れ限度を定めた債務上限を2022年12月まで一時停止する法案を米下院で9月29日、可決したが、上院での可決のめどは立っていない。

 過去の債務上限問題に伴う政府機関閉鎖を振り返ってみると、米政府機関閉鎖に伴う株価の下落は限定的だったが、波乱気味の展開となったのが、2011年の米国債格下げショック。この時は、債務上限引き上げ法案が可決したものの、その後にS&Pによる史上初の米国債格下げとなり、株売り・金買いとなった。

 過去の債務上限問題が浮上してきた時と同様、最終的には、ギリギリの段階での合意(債務上限の引き上げ、あるいは一時停止によってデフォルトは回避)が市場コンセンサスだが、数日の空白期間が生じるリスクには注意したい。

 現在は、金利上昇・ドル高で上値が抑えられている金相場だが、いわゆるバーナンキショックからテーパリング開始した2013-2014年の値動きを振り返ると、テーパリング開始までは米金利上昇・NY金売りが続いたが、実際の開始以降は、「知ったら終い」で、金利下落・金反騰となった。

 年内にテーパリング開始が市場コンセンサスだが、ここからは金の安値売り込みではなく、底打ち確認後の買い場探しが有効ではないかと考える。

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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