[Vol.1088] 電力は「脱炭素」で重要な役割を担う

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。74.33ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,752.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 国慶節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心) 国慶節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで790.85ドル(前日比3.75ドル縮小)、円建てで2,844円(前日比1円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月1日 17時31分頃 6番限)
6,254円/g 白金 3,410円/g
ゴム 210.7円/kg とうもろこし 35,350円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「電力は「脱炭素」で重要な役割を担う」

前回は、「実はジワリと上昇していた電気代」として、家計における電気代が上昇していたことについて書きました。

今回は、「電力は「脱炭素」で重要な役割を担う」として、電力が、豊かな生活を支えつつ、「脱炭素」を進める上で重要な役割を担うことについて書きます。

電力需要は、世界的に見ても増加傾向にあります。人類が発展することを望んでやまない先端技術のほとんどが、電力を必要としているためです。

人類は、特にこの20年間、さまざまなところでより多くの電力を使うようになってきました。暗くなれば明かりをともし、寒くなれば(暑くなれば)暖房(冷房)をつけ、煮炊きをするために熱を欲し、遠くに移動するための動力を欲する。

豊かな生活を送るためのこうした最低限の電力のみならず、瞬時に膨大な情報を伝達することができる高度な電子機器を使用したり、デジタル通貨をマイニング(掘削)したり、軽くて加工しやすい金属を大量に精製したりするために、莫大(ばくだい)な電力を使うようになりました。

人々の生活において、電力の重要性は、年々、というよりも日に日に、高まっていると言えるでしょう。

以下のグラフは、日本における、家庭用のエネルギー消費機器の保有状況を示しています。暖をとるにしても、石油ストーブやファンヒーターなどの直接的に化石燃料を使用する機器ではなく、ルームエアコンといった電力を用いる機器が選ばれるようになったことが分かります。

また、携帯電話やパソコンなどの現代社会の必需品や、生活環境をより良くするための温水洗浄便座なども普及してきています。便利で豊かな暮らしを実現・維持するために、電気を消費する機器が、どんどんと身の回りに増えてきているのです。

また、電力を欲するのは、家庭だけではありません。工場などの産業用、サービス産業などの業務用にも、多くの電力が使われています。

今後さらに省エネが進んだとしても、人々が豊かな生活を望む以上、全体的には、電力需要は高止まりするかもしれません。

むしろ今後、世界的なブームとなった「脱炭素」を実現する上で欠かせない「電化」がさまざまな分野ですすんだ場合、電力需要は高止まりではなく、大きく増加する可能性があるでしょう。

図:家庭用エネルギー消費機器の保有状況


出所:資源エネルギー庁「エネルギー白書2021」などをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。