週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.61ドル高の75.01ドル、ブレント原油は0.85ドル高の78.33ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。ハリケーン後のメキシコ湾の原油生産が遅れていることに加え、OPECプラスの一部産油国の増産が伸び悩んでいることから需給引き締まりが意識された。また中国・恒大集団をめぐる懸念が一時後退したことでリスク回避が和らいだことも支援要因となった。

 先週は、需給引き締まり観測からブレント原油で80ドルを達成したことで一旦利食い売りに押される場面も見られたが、下値は底堅く推移する展開となった。週明け27日は続伸。主要国の需要回復が続いていることや、ガス価格の高騰により天然ガスから原油に需要がシフトするとの見方が相場を押し上げた。28日は反落。ブレント原油が80ドルの大台を達成したことによる利食い売りや、株価の急落によるリスク回避の動きからドル高金利高が圧迫要因となった。また中国で電力不足が発生していることも石油需要の鈍化を意識させ重しとなった模様である。29日は続落。EIA統計での原油、製品在庫の積み増し、ドル高進行が重しとなった。米中古住宅指数が予想を大幅に上回ったほか、ECBフォーラムにおいて黒田日銀総裁が大規模な金融緩和政策を維持すると述べたことから、日米の金利差拡大が意識され円安ドル高が進む格好となった。 またOPECプラスは11月においても引き続き日量40万Bの減産縮小を維持する模様。30日は反発。OPECプラスが供給ひっ迫懸念を背景に増産を計画していると伝わったことやドル高株安が重しとなったが、中国がエネルギーと電力供給の確保のために石油などの輸入を増やすと伝わったことで切り返す展開となった。



 今週の原油相場は調整安後の買い場探しの流れとみる。ブレント原油は節目の80ドルを達成後、騰勢一服の形となったが、高値波乱の可能性は残している。天然ガスの急騰による代替需要として原油が買われたが、中国の電力供給難は深刻で同国の原油輸入拡大は避けられない見通しだ。ただ、4日のOPECプラス会合で追加増産が合意される見込みで、一旦、利食い売りからブレント原油で75ドル割れをトライする動きに見える。しかしながらOPECプラスの増産能力は中国の需要を満たすには不足しているとの懸念も強く、冬季を前にした天然ガス、原油の高騰は継続しそうな気配である。国慶節で中国勢が休みの間に押し目買い継続の方針で臨みたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。