[Vol.1093] 「どっちかの夜は昼間」米国と日本の時差を確認

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。79.53ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,756.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は14,395元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年11月限は528.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで766.1ドル(前日比7.8ドル縮小)、円建てで2,778円(前日比25円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月8日 17時54分頃 6番限)
6,312円/g 白金 3,534円/g
ゴム 221.4円/kg とうもろこし 36,770円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「どっちかの夜は昼間」米国と日本の時差を確認」

前回は、「「パジャマ トレーダー」はすでに存在する模様」として、日本時間の夜に活動する日本の投資家の動向について、書きました。

今回は、「「どっちかの夜は昼間」米国と日本の時差を確認」として、日本の輸入LNG(液化天然ガス)価格の動向について、書きます。

2018年に「ダサかっこいい」で一世を風靡(ふうび)した、DA PUMPのUSAの終盤に、興味深いフレーズが出てきます。「どっちかの夜は昼間」です。このフレーズは、パジャマ トレーダーの活動時間や米国と日本の時差を考える上で、有用です。

海外旅行になじみがある人の中には、日本と米国を行き来するときは、日付変更線を越えるため、「1日を足し引きする」、具体的には、日本から米国に行くときは1日を引き、米国から日本に帰る時は1日を足して日時を調整する、と覚えている方もいると思います。

市場関係者が時差を認識する際、筆者としては、以下の考え方が合うと考えています。欧州を含んだ全体像を把握できるためです。時差の考え方のもととなった、天文学や地理学などの発達が英国を起点としていることや、日本が極東の島国であることなども、認識できます。

地表を縦に分割する「経線」の起点であるロンドン郊外のグリニッジ天文台(経度0度)から東に135度の地点に東京、西に75度の地点にニューヨークがあります。両地点は210度分、離れているわけです。

この210度を時差の目安である「経度15度で1時間の時差(360度÷24時間)」を加味すると、両地点の時差が14時間であることが分かります。これは、欧米が通常時間(夏時間との対比で、おおむね北半球が冬の時)の場合です。

以下は、欧米が夏時間(サマータイム)の場合です。ニューヨークと東京の時差は1時間縮まり、13時間です。米国は毎年3月中旬に夏時間入りし、毎年11月上旬に夏時間が終了します。欧州の夏時間は、米国よりも数週間遅く始まり、数週間早く終了します。

13時間や14時間という時間差が、どのような意味を持っているかと考えると、「ほぼ半日」というキーワードが想起されます。東京とニューヨークの時差上の関係は「昼夜がほぼ真逆」であり、この点を言い得たのが、「どっちかの夜は昼間」なのです。

また、図の右側(東側)に、日付変更線があります。夜が明けるのも、太陽が南中するのも、日が暮れるのも、地球の自転により、東側から始まりますが、日付変更線は、地球全体のこれらの起点(時間的な起点)の役割を担っています。

時間の起点が東であることを示すため、図の右側に「(時間的に)先」、左側に「(時間的に)後」と記しました。

ニューヨークが夏時間の時、東京との時差は13時間で、時刻は東京の方が13時間先(ニューヨークは13時間後に、東京と同じ時刻になる)、通常時間の時、時差は14時間で、時刻は東京の方が14時間先(ニューヨークは14時間後に、東京と同じ時刻になる)になります。

図:ニューヨークと東京の時差(北半球が冬:欧米通常時間、オセアニア夏時間の場合)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。