[Vol.1092] 「パジャマ トレーダー」はすでに存在する模様

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。76.25ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,760.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 国慶節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心) 国慶節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで779.7ドル(前日比4.9ドル縮小)、円建てで2,820円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月7日 19時18分頃 6番限)
6,301円/g 白金 3,481円/g
ゴム 215.6円/kg とうもろこし 36,470円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「パジャマ トレーダー」はすでに存在する模様」

前回は、「LNG価格は原油価格の半年あとをたどる」として、日本の輸入LNG(液化天然ガス)価格の動向について、書きました。

今回は、「「パジャマ トレーダー」はすでに存在する模様」として、日本時間の夜に活動する日本の投資家の動向について、書きます。

以下のグラフは、東京金融取引所で取引されている、NYダウ証拠金取引の価格と出来高の推移を示しています。期間は、2021年9月21日(火)夕方から10月2日(土)早朝までです。(※現在当社では、「くりっく365、くりっく株365」の取り扱いはございません)

出来高とは、取引の活況度を示す指標の一つです。例えば、買い注文1枚と売り注文1枚が、見合った(成立、約定(やくじょう)とも言う)とき、出来高1枚、となります。出来高が多い時間帯は、取引が活発な時間帯、と言えます。

NYダウというと米国市場で取引されているように見えますが、「日本国内の取引所」で取引されています。また、価格の単位は「円」です。取り扱いがある「日本の金融機関」を通じて取引ができます。このため、この銘柄は「日本」の色が濃いと言えるでしょう。

NYダウの値動きに連動することを目指す金融商品を、「日本国内の取引所」で、ドルではなく「円」で、売買できるわけですので、この銘柄はおおむね、日本の投資家のためにつくられた銘柄、と言えるのではないでしょうか。

この銘柄の時間帯別の出来高に注目します。ここでは、8時から16時までを「日本時間」、16時から19時までを「欧州時間」、19時から翌4時までを「米国時間」とします。グラフの通り、全ての日で、米国時間の出来高が、日本時間の出来高を上回っています。

先述のとおり、出来高は、取引の活況度を示す指標の一つです。「日本」の色が濃い銘柄の売買が、米国時間に最も活況になるのです。「日本人投資家」…「夜の売買」…「活発化」…と考えたとき、ふと「パジャマ トレーダー」という言葉が頭をよぎりました。

およそ10年前、インターネット専業の商品先物会社で、深夜、お客さま(個人投資家の皆さま)から寄せられる電話での問い合わせを受けている最中、思いついた言葉です。メッセージ性を持ち、言い得て妙だと思ったのですが、当時はなかなか浸透しませんでした。

しかし、時代は変わりました。米国株や米国株に連動することを目指す投資信託やCFDなどが、人気を博しています。「米国」が投資の主舞台になりつつある今だからこそ、「パジャマ トレーダー」に再度、注目したいと思い、今回のレポートの題材としました。

※「パジャマ トレーダー」…日本時間の夜、自宅でリラックスしながら「投資の夜活」をたしなむ個人投資家を指す、筆者の造語。

図:東京金融取引所のNYダウ証拠金取引の価格推移と出来高(3時間足 終値)※日時は日本時間


出所:くりっく株365のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。