金相場、底固めから上放れ待ち

著者:菊川 弘之
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 テクニカル・サイクル面から変化が起こりやすい日柄が集中した9月末にかけて、内外の金相場は2番底を形成。底固めに移行している。

 NY金(12月限)は、8月9日安値(1675.9ドル)が1番底、9月29日安値(1721.1ドル)が2番底、ネックラインは、9月9日高値(1836.9ドル)。

 JPX金(先限)は、8月11日安値(6105円)が一番底、9月17日安値(6160円)が2番底。ネックラインは6月6日高値(6460円)。

 JPX金(先限)は、ネックライン~心理的節目6500円や、6月高値(6742円)を起点とした下降トレンドを上抜き、上げ加速。6570円(10月15日高値)まで続伸した。

 私自身は、短期トレードは別にして、中長期トレードではダマシを避ける為に「トレンド認識・判断は、マザーマーケットを主とするべき」との立場を採るが、NY金(12月限)が、6月高値(1922.4ドル)を起点とした下降トレンドで頭を打さえられたことで、テクニカル的には好転していたJPX金にも調整が入った。18日(月)に長大陰線での修正を入れたが、押し目はすかさず買われ、22日段階で心理的節目6500円を回復している。

 9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、年内のテーパリング開始、米金融政策の正常化が早まるとの観測や、米与野党が12月初めまで債務上限を暫定的に引き上げることで合意したことに加え、原油を始めとするエネルギー価格の高騰に伴うインフレ懸念の高まりから、米長期金利が上昇、金の上値を抑えている。

 ただし、米国債の債務不履行(デフォルト)は回避されたものの、12月以降の予算執行には債務上限の引き上げが再び必要になる。年末には再び、与野党間のチキンレースが材料視されるだろう。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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