[Vol.1125] 欧州のコロナの感染状況は悪い

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。78.12ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,792.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は15,755元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年01月限は509.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで799.95ドル(前日比9.05ドル縮小)、円建てで2,946円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月25日 18時4分頃 6番限)
6,645円/g 白金 3,699円/g
ゴム 254.8円/kg とうもろこし 38,980円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「欧州のコロナの感染状況は悪い」

前回は、「リスク要因『脱炭素』『枠組み乱立』『ボイコット』」として、足元、世界に存在する各種リスクについて、筆者の考えを述べました。

今回は、「欧州のコロナの感染状況は悪い」として、前回述べた各種リスクとともに世界に不安をふりまいている「新型コロナ」の感染状況について書きます。

先週末、欧州の一部地域におけるロックダウン開始報道が、株価指数急落の直接的な原因となり、原油価格急落の主因となりました。

EU加盟国(一部その他の国を含む)の、新型コロナワクチンの接種率(2回接種済)を確認すると、80%を超える国が複数ある一方、60%に満たない国が多数あることがわかります。

11月18日時点で、80%以上は、ポルトガル87.8%、マルタ83.5%、スペイン80.3%の3カ国です。60%未満は、エストニア58.7%、チェコ58.1%、スロベニア54.7%、ポーランド53.5%、クロアチア46.1%、スロバキア42.7%、ルーマニア37.0%、ブルガリア24.3%です。(参考:日本76.2%、米国58.5%、ロシア36.0%)

東欧諸国の接種率が低いことがわかります。同データベースより、こうした国では新規死亡者数が多い傾向があることも、示されています。接種率が、西欧諸国のような水準まで上昇すれば、EU域内の感染状況は改善する可能性があります。

先週末に急落した株価指数も、それに呼応して急落した原油相場も、今後、ワクチン接種率が低い東欧諸国での接種率が上昇し、新規感染者の増加に歯止めがかかれば、反発しやすくなると、考えます。

図:主要国・地域の新型コロナ100万人あたり新規感染者数 単位:人


出所:Our World in Dataのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。