週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.13ドル高の71.752ドル、ブレント原油は0.50ドル高の74.51ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。前日の急落による反動や週末前の買い戻しが入る展開となった。米11月CPIが前年同月比6.8%上昇となったが、市場予想通りであったためドル安に反応、消費意欲の底堅さも見られ株が堅調に推移したことも支援要因となった。

 先週はオミクロン株の感染拡大懸念から上値は重かったものの、FOMCを想定内で通過したことで買い安心感が広がり上昇となった。13日は反落。英国でオミクロン株による死者が初めて確認されたことでリスク回避の動きとなった。またシェールオイル生産の中核であるパーミアン盆地の1月生産量が初めて日量500万Bを超える見通しであることも重しとなった。14日も続落。米PPIが前年同月比9.6%上昇となり、市場予想を上回ったことで15日FOMCがタカ派な内容になるとの見方からドル高となったことでドル建て原油の重しとなった。また引き続きオミクロン株の感染拡大により、各国で感染対策強化がされるなど石油需要の減少が意識され、IEAの月報では今年と来年の石油需要が10万Bずつ下方修正された。15日は小反発。EIA統計で原油、製品在庫がともに予想を上回る減少となったことが相場を押し上げた。またFOMCで資産購入ペース縮小の加速と来年3回の利上げが示されたが、想定内の内容であったことからドル安に反応したことも支援要因となった。16日は続伸。前日の流れを引き継いで買われたことに加え、英中銀の利上げ、ECBのパンデミック購入プログラムの来年3月の終了が示されたことでドル安となったことも支援要因となった。



 今週の原油相場はクリスマス休暇でもみ合いの動きが予想される。先週は11月後半からの急落に対する戻しを試す展開だったが、半値戻し(WTI72.15ドルレベル)を超えたあたりで上値づかえ感が出てきた。ただ、下値もWTIの70ドル割れでは買われ、当面はレンジ相場の流れとなりそうだ。オミクロン株の感染拡大が上値抑制要因となっているが、OECDの民間石油在庫は2015年以来の低水準となっており需給タイト感は強い。GSを含む大手金融機関の原油価格見通しは強気の見方を変えていないことも支援要因となるだろう。ボラティリティも一時に比べ落ち着いてきたことから中期的には押し目を丁寧に買い拾っていきたい局面とみる。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。