[Vol.1148] 2022年の原油相場は大きなレンジで推移か

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。76.83ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,803.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は14,765元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年02月限は496.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで835.05ドル(前日比2.15ドル縮小)、円建てで3,087円(前日比6円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月30日 11時2分頃 6番限)
6,654円/g 白金 3,567円/g
ゴム 237.2円/kg とうもろこし 40,060円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「2022年の原油相場は大きなレンジで推移か」

前回は、「黎明期の脱炭素は原油相場を押し上げる」として、2020年に本格化したばかりで、まだまだ黎明期・過渡期といえる「脱炭素」が、原油相場にどのような影響を与えているのか、筆者の考えを述べました。

今回は、「2022年の原油相場は大きなレンジで推移か」として、2022年の原油相場の年間高値と年間安値の具体的な値について、筆者の考えを述べます。

前回の「[Vol.1147] 黎明期の脱炭素は原油相場を押し上げる」で、「コロナ・脱炭素」3年目の2022年においても、2021年と同様、全体的な年平均ベースの上昇が発生する可能性があると述べました。原油も例に漏れず、年平均ベースで上昇すると考えます。

「脱炭素」起因の上昇要因を含んだ、2022年に発生することが想定される原油固有の上昇要因は「株価上昇」「脱炭素起因の上昇圧力」「石油在庫減少」「需要見通し引き上げ」、下落要因は「株価下落」「石油在庫増加」「需要見通し引き下げ」、などと考えます。

株価の下落と上昇が、原油相場の下落要因と上昇要因になり得る点については、「[Vol.1146] 株と原油は「一蓮托生」の関係」で述べました。また、週次で公表される石油在庫や、月次で公表・修正される需要見通しなども、下落と上昇、両方の要因になり得ます。ここに、「脱炭素」起因の上昇要因が加わるわけです。

このような構図が、2022年の原油相場の年平均ベースの上昇を支えると、筆者は考えています。「年平均ベース」で価格上昇、という条件を起点に、「[Vol.1142] 2022年の金(ゴールド)の予想レンジ」で述べた要領で、以下のグラフのとおり、2022年の原油相場の年間
高値と年間安値を推定しました。

高値が約120ドル(100ドル超もあり得る)、安値が約56ドルでした。非常に幅広いレンジの中で、2022年の原油相場が推移すると考えます。

2021年は、例年以上に、想定外の事象で価格が急変した年でした。値動きを解説し、分析をすることが難しい時間帯が続くことが想定されますが、2022年も、過去の常識にとらわれず、新しい視点から、コモディティ市場を分析していきたいと思います。

本年もどうもありがとうございました。来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

図:2022年のNY原油先物価格 年間高値・年間安値予想  単位:ドル/バレル


出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。