週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.35ドル高の79.99ドル、ブレント原油は3.14ドル高の82.49ドルとなった。

 年末30日の海外原油は続伸となった。前日発表のEIA統計で原油ガソリンが取り崩しとなったことを好感した。

 年初3日は反発オミクロン株の感染拡大への懸念もあったが、今年の需要回復に対する期待や、リビアのパイプラインがメンテナンスで1週間ほど停止との報から供給懸念が勝ったようだ。翌4日も続伸となった。OPEC+が2月の産油量も40万B/Dの増産を継続することを合意し、需要見通しに楽観的なOPEC+の決定を好感した。5日は前日の流れを引き継ぎ上昇した。米国時間に発表されたEIA統計では原油が-214万B、ガソリンが+1012万B、留出油が441万Bと製油所稼働率の上昇により原油が減少する一方で、寒波やオミクロン株によるものかガソリン需要の減少が示された。同統計は弱材料にならず上昇を続けたが、FOMC議事録がタカ派色が強かったことで株安の影響から上げ幅を削った。6日も続伸した。カザフスタンで燃料高騰を背景とした反政府デモが暴徒化し、ロシア軍が介入した。供給懸念や地政学的緊迫感の高まりから上昇した。7日も前日までの流れを引き継ぐ格好で上昇推移が続いている。



 昨年10月~11月にかけ、投機筋の手じまい売りで投機筋のロングが大幅に減少するとともに価格調整が生じた。現在進行形で投機筋の買い直しとともに急速な上昇となっている。また、原油在庫の取り崩しが続いていることなどファンダメンタルが強いことに加え、年初から複数の供給障害が重なり大幅に値を戻す状況となっている。テクニカルも再度上昇基調に戻ったことを示唆しているようで、WTIで85ドルブレントで86ドル台の高値まで戻る可能性があるか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。