[Vol.1154] 天然ガスと原子力は「お墨付き」を得た!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.83ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,815.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は15,090元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年03月限は518.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで847.45ドル(前日比2.15ドル拡大)、円建てで3,141円(前日比8円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月12日 18時37分頃 6番限)
6,715円/g 白金 3,574円/g
ゴム 244.6円/kg とうもろこし 39,960円/t

●NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/百万英国熱量単位


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「天然ガスと原子力は「お墨付き」を得た!?」

前回は、「大暴騰する欧州の天然ガス価格」として、欧州、日本(LNG)、米国の天然ガス価格の推移を確認しました。

今回は、「天然ガスと原子力は「お墨付き」を得た!?」として、欧州委員会が天然ガスと原子力を、「脱炭素」推進に資するエネルギーであるとの見方を示したことについて書きます。

前回述べたとおり、欧州の天然ガス価格を押し上げている要因の一つに、「脱炭素起因の需要増加観測」が挙げられます。

欧州では、燃焼時に排出される二酸化炭素の量が比較的多い石炭から、比較的少ないとされる天然ガスにシフトすることが、「脱炭素」を進める上で有用であるという考え方が、主流になりつつあります。

2022年1月1日、EU(欧州連合)の欧州委員会は、天然ガスと原子力を「脱炭素」推進に資するエネルギーであるとの見方を示しました。これにより欧州では、「脱炭素」をきっかけに、ますます、天然ガスの重要度が増す可能性が高まりました。

見方が示されたに過ぎないとはいえ、天然ガス、および、同時に指名された原子力は、環境配慮先進地域である欧州から、ある意味「お墨付き」をもらえるほど、注目されていると言えるでしょう。

自動車排ガス規制がそうであるように、環境配慮先進地域である欧州の動きは、世界全体の環境対応の先行指標になります。「脱炭素」を進めるにあたり、今回の天然ガスと原子力にお墨付きを与えた欧州の方針が、将来的に、世界の方針になる可能性があります。

欧州のルールにのっとらない場合、その企業や国が、政治や貿易などの関わりにおいて、欧州と疎遠になるリスクが生じます。今のところ、欧州と関わりを維持・強化することを望むのであれば、環境配慮先進地域のルールにのっとる必要があります。

図:欧州委員会は「天然ガス」「原子力」に注目


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。