2022年展望(金・原油)

著者:菊川 弘之
ブックマーク
 ユーラシア・グループによる2022年の「世界の10大リスク」で採り上げられた

 2:テクノポーラの世界(巨大ハイテク企業支配)

 誤情報による民主主義への信頼低下や、サイバー攻撃による国際緊張。

 3:米中間選挙

 どちらが勝っても批判合戦に。政治への信頼が低下し混乱や暴動の恐れも。

 4:中国の国内政策

 習近平政権に対するチェック機能が働かず、政策を誤る恐れ。

 5:ロシア

 米欧の譲歩がなければ、ウクライナ侵攻の恐れも。

 6:イラン

 核合意復帰交渉で対外強硬姿勢を変えず、周辺地域紛争リスクも。

 7:2歩進んで1歩下がるグリーン政策

 脱炭素政策に伴うエネルギー価格高騰がインフレや市場不安定化要因に。

 8:世界各地に「力の空白」

 アフガニスタンやイエメンでのテロ組織の増長、ミャンマーなどで難民流出。

 辺りは、金や原油市場に直接的な上値リスクとしての影響を与えそうだ。

 今年は、米国で中間選挙。中国では5年に一度の共産党大会があるほか、欧州では、ドイツ・フランス・イタリア、アジアでは韓国・フィリピンで大統領選挙、日本では参院選挙が予定されている。各国の内向き姿勢の強まりが、国際関係やマーケットの波乱要因となりそうだ。主要国が国内政治に重きを置くことで、経済合理性に反する決定が発生するリスクには、注意を払いたい。

 世界各地で地政学リスクの火種が燻る中、過去の米国大統領就任以降の株価動向を見ると、3年目は2四半期以降に下方圧力が高まり易い。米国の分断・弱体・不安定化がドルの基軸通貨体制の綻びを招き、「安全資産」の顔を持つ金にとっては長期的な強気要因となるだろう。スタグフレーション懸念も金を売り難くしている。

 36年に一度訪れる最強金運の2022年に買い仕込むべきは、米金融正常化観測で上値が抑えられている金相場と考える。


 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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