[Vol.1158] 身近な品物の価格が上昇している

著者:吉田 哲
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原油反発。中東情勢の混迷などで。84.84ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,813.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,840元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年03月限は543.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで850.55ドル(前日比1.35ドル縮小)、円建てで3,134円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月18日 17時31分頃 6番限)
6,692円/g 白金 3,558円/g
ゴム 241.1円/kg とうもろこし 40,460円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「身近な品物の価格が上昇している」

前回は、「日本のLNG価格は原油価格に連動」として、日本のLNG(液化天然ガス)価格と、原油価格の関係について書きました。

今回は、「身近な品物の価格が上昇している」として、日本の消費者物価指数(CPI)ついて書きます。

ポテトチップス、食用油、マヨネーズ、ドレッシング、トイレットペーパー、照明器具、トイレ、うどん、牛丼、衣料品、電車の運賃…枚挙にいとまがないとは、このことでしょう。身近な品目の値上げが続いています。

以下のグラフは、身近な品目の価格動向を反映した消費者物価指数の推移です。

「総合」が上昇しています。このため、消費者の身の回りで、総合的に品物の価格が上昇しているように見えます。しかし、オレンジ線の「食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く」総合を見ると、ほとんど横ばいです。

食料(酒類を除く)とエネルギー価格の上昇が「物価高」の正体であることがわかります。また、景気が過熱感を帯びるほど良くなり、幅広い分野の物価が上昇しているわけではないこともわかります。

現在の「物価高」は、食料とエネルギー価格の上昇が消費者物価を押し上げる、「コスト・プッシュ型」の物価高だと言えます。値上げに踏み切った各種企業が説明した、値上げの主な理由は「原材料高」です。

日本は人々の生活に身近な品目の原材料の多くを、輸入に頼っています。エネルギーはほとんど、食品関連では半分以上、その他、木材では6割以上を輸入に依存しています。

「原材料輸入大国」とも言える日本は今、各種コモディティ(商品)の国際価格が上昇し、原材料高にあえいでいます。この各種コモディティの国際価格の上昇による原材料高が、私たちに身近な品目の値上げの主因とされているわけです。

図:日本の消費者物価指数 (CPI、2015年=100)


出所:総務省統計局のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。