[Vol.1161] モノから心に幸福の軸を移す必要がある

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。83.78ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,839.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,620元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年03月限は528.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで803.2ドル(前日比4.05ドル拡大)、円建てで2,975円(前日比35円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月21日 11時13分頃 6番限)
6,711円/g 白金 3,736円/g
ゴム 246.3円/kg とうもろこし 40,150円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「モノから心に幸福の軸を移す必要がある」

前回は、「脱炭素は後戻りしない。物価高はしばらく続く」として、黎明期の脱炭素と物価高の関係について述べました。

今回は、「モノから心に幸福の軸を移す必要がある」として、社会を取り巻く価値観の変化について、筆者の考えを述べます。価値観の変化に留意することは、現在の市場を分析する上で欠かせないと、筆者は考えています。

今月、主要メディアで、「幸せの軸は、モノから心に移行している」という趣旨のコメントを見かけました。時制は、「した」(過去形)ではなく、「する」(未来形)でもなく、「している」(現在形でかつ進行形)でした。

このコメントは、当該メディアの主要コーナーの一角に据えられています。つまり「推し」なのです。筆者は、このコーナー(成長の未来図)は、時代の潮流の行く先を考える上で有益だと、感じています。物理的に目に見える「モノ」から、目に見えない「心」に、価値観・幸福観の軸をシフトする重要性を説いているためです。

30年くらい前、「欲しいモノを今すぐ10個言えれば幸せ」だと聞かされた記憶があります。中学生だった筆者が、必死に頭を回転させて思いついたのは、ゲームや、ファンだった歌手のCDなど、いかにも中学生男子が想像するものばかりでした。

必死に頭を回転させたのは、「10個言えれば幸せ」の裏である「10個言えなければ不幸」を意識したためです。

「必死に無理やり欲しいモノをひねり出すことで幸せになれるのか?」という疑問が生じなかったのは、当時の日本に、「モノを持つことが幸せだ」という同調圧力や強迫観念があったと感じていたためだと思います。

30年前の日本に、目に見えない「心」を重視するムードはなかったように思えます。2021年、主要メディアで報じられているとおり、わたしたちは目に見えない「心」を、価値観・幸福観の軸とするタイミングにいると、考えます。

こうした考え方に留意することが、現在の市場を分析する上で欠かせないと、筆者は考えます。

図:価値観・幸福観の軸の変遷


出所:各種情報源をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。