[Vol.1169] ウクライナ情勢悪化による影響を間接・直接に分ける

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。88.55ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反発などで。1,802.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 春節のため休場(1月31日から2月4日まで)

上海原油(上海国際能源取引中心) 春節のため休場(1月31日から2月4日まで)

金・プラチナの価格差、ドル建てで763.9ドル(前日比14.4ドル縮小)、円建てで2,853円(前日比10円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月2日 18時31分頃 6番限)
6,629円/g 白金 3,776円/g
ゴム 247.7円/kg とうもろこし 41,300円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ウクライナ情勢悪化による影響を間接・直接に分ける」

前回は、「米シェール生産効率の頭打ち感が鮮明に」として、米国のシェール主要地区における生産効率を示す指標を確認しました。

今回は、「ウクライナ情勢悪化による影響を間接・直接に分ける」として、ウクライナ情勢悪化による影響を考えます。

ウクライナ情勢が悪化の一途をたどっています。ロシアがウクライナとの国境付近に軍を展開しはじめて数カ月が経過。現在10万人規模の部隊が集結しているとのこと。それに呼応して1月、米国政府が8,000名超の兵士を派遣できるよう準備を完了させたと、報じました。

ウクライナ情勢は、情勢悪化→景気鈍化、ロシアに近い→エネルギーの供給減少など、複数の経路で、世界に強い不穏なムードをもたらしています。ただ、同情勢の悪化を、「なんとなく不安」「なんとなく悪いことが起きている」と捉えている人が少なくないと感じます。

ウクライナの地理的位置や政治的特徴、主要輸出品目などを知ることで、不安の根っこが見えてきて、同情勢を冷静に見守ることができるようになると考えます。

足元、ウクライナ情勢の悪化は、エネルギー価格や穀物、一部の農産物・鉱物の価格を上昇させていると、考えられます。とはいえ、下図のとおり、価格上昇が間接要因によるものなのか、直接要因によるものなのか、分かれます。

図:ウクライナ情勢の悪化が与える間接・直接の影響


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。