[Vol.1177] 金(ゴールド)と原油が一時急騰状態に

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の急反発などで。93.06ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反発などで。1,857.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,355元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年04月限は577.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで830ドル(前日比6.6ドル拡大)、円建てで3,171円(前日比22円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月15日 18時6分頃 6番限)
6,926円/g 白金 3,755円/g
ゴム 252.9円/kg とうもろこし 42,520円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)と原油が一時急騰状態に」

前回は、「脱炭素否定=100ドル説否定のジレンマ」として、「脱炭素」と「原油高」の関係について、筆者の考えを述べました。

今回は、「金(ゴールド)と原油が一時急騰状態に」として、足元、大きく上昇する金と原油相場の上昇要因をまとめます。

金(ゴールド)がおよそ3カ月ぶり、原油がおよそ7年5カ月ぶりの水準まで、上昇しています(原稿執筆時点)。米国政府が、危機状態にあるウクライナにいる米国国民に対し、48時間以内に退避するよう呼びかけ、軍事衝突が間近に迫っているとの思惑が強まったためです。

金(ゴールド)価格は、金利上昇局面でも、上昇しています。金利上昇→ドル保有妙味増→相対的に金(ゴールド)保有妙味減、という流れにより、金利が上昇局面では金価格は下落することがありますが、今は逆に上昇しています。

原油相場は、ロシアがウクライナに侵攻する懸念が強まり、エネルギーの供給減少懸念が意識されていることが一因で、上昇しています。

ウクライナ国内に敷設されたロシア産の原油や天然ガスが運ばれるパイプラインに障害が発生したり、ロシアが供給を停止したりする懸念があること、バルト海に敷設された天然ガスのパイプライン(ノルドストリーム2。ロシア・ドイツ間)の稼働が、今回の危機を受けて稼働を停止していること(米国主導)などにより、エネルギーの供給減少懸念が強まっています。

ウクライナ情勢の悪化のほか、「インフレ」「原油100ドル説」「脱炭素」「見えにくいリスク」など、短・中・長期、さまざまな時間軸の上昇要因が存在します。

図:金(ゴールド)・原油の価格上昇要因(一例)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。