短期的な買われ過ぎ感も調整は限定的か?

著者:菊川 弘之
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 NY原油(4月限)は続伸も、高値は売られて長い上ヒゲ形成。陰線引けとなった。RSIは短期的な買われ過ぎ感が示唆され、調整安が予感されるチャート形状だ。2021年12月安値~2022年3月高値までの上昇に対する38.2%押しは104.27ドル。半値押しは96.17ドル。61.8%押しは88.07ドル。

 90ドル~95ドル水準は価格帯別出来高の厚い下値支持帯。

 ロシアとウクライナの停戦交渉にも進展がみられない中、6日にはブリンケン米国務長官が欧州の同盟国・有志国と協議していると発言し、主要国が追加制裁に動くとの観測が強まった。米下院では早ければ8日にも禁輸に関する採決が行われる見通し。

 昨年のロシア産原油の全輸出のうち米国向けは3%に過ぎず、制裁の有効性を疑問する声に加え、バイデン政権による中間選挙前の国内向けアナウンス効果狙いとの見方は強い。米国とは異なり、ロシアにエネルギー依存する欧州では、ロシア産禁輸は非現実的との見方が強く、原油相場は高値から押し戻されて引けた。米ソ冷戦時代も禁輸はなかった。

 ドイツのショルツ首相が7日、ロシアからのエネルギー輸入は必要だとの声明を公表し、禁輸に慎重な姿勢を示した。ドイツのリントナー財務相は、ロシアからの原油や石炭、天然ガスの輸入を停止する計画はないと述べた。べアーボック独外相によると、禁輸に踏み切ったとしても数週間で電力不足になるという。ショルツ独首相は代替輸入元が見つかるまではロシア産エネルギーが必要であると述べた。

 3月9日は、原油市場においてはメリマンの重要変化日。トレンド変化(加速or反転)が意識されやすい時間帯である。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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