[Vol.1206] 「露中北」の3月4週目の動向

著者:吉田 哲
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原油反発。ロシア産エネルギーの供給減少懸念などで。106.94ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,917.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は13,585元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年05月限は690.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで933.35ドル(前日比5.85ドル縮小)、円建てで3,708円(前日比25円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月30日 17時58分頃 6番限)
7,490円/g 白金 3,782円/g
ゴム 256.3円/kg とうもろこし 49,420円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「露中北」の3月4週目の動向」

前回は、「東西ロシアでリスク拡大、短期決戦はニセ情報?」として、3月4週目(20日~26日)に見られた、「露中北」の連携強化をうかがわせる動きを確認しました。

今回は、「「露中北」の3月4週目の動向」として、3月4週目(20日~26日)に見られた、「露中北」の具体的な動きを確認します。

・ロシア
21日(月):日本との平和条約締結交渉を中断すると発表。日本が、欧米が主導するロシア制裁(排除・不買・撤退)に加担していることへの報復である模様。

22日(火):ロシアのラブロフ外相は、米国が中ロに制裁圧力をかけるのは「賢明でない」と非難。貿易における決済時の通貨を米ドルから自国通貨(ルーブル)への切り替えを進め、制裁リスクに対抗する必要性を強調。

25日(金)、同国東部のクリール諸島(北方領土と千島列島)で、軍事演習を実施(3千人規模)。同日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行ったことを受け、中国と緊密に連携することを確認。

・北朝鮮
24日(木):新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」を発射。米国の全域が射程に入る可能性あり。後に新型ではなかった可能性があると報じられたものの、この実験は米国を強くけん制する意図があった模様(これに対し、米国は24日(木)、ミサイル開発に関わる技術を供与したロシアと北朝鮮の企業・個人に制裁を科すと発表)。

・中国
22日(火)・23日(水)、ロシアの外相を招き、会談。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と、ラブロフ外相は、米国の内政干渉や、欧米主要国が主導して行う枠組み作成に反対する姿勢を確認。

22日(火)、習近平国家主席が、北朝鮮の金正恩総書記に、新しい情勢の下で協力し、中朝関係を発展させていきたいという趣旨のメッセージを伝えた。また、ロシアや北朝鮮に加えた計17の国・地域とともに内政不干渉の原則などを掲げる「国連憲章」の堅持を名目にグループを発足させる計画を明らかにした。

次回以降、筆者が考える「露中北」の東アジアにおける役割分担について、述べます。

図:3月4週目の「露中北」の主な動向


出所:各種情報源をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。