[Vol.1205] 東西ロシアでリスク拡大、短期決戦はニセ情報?

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。106.36ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,919.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は13,360元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年05月限は677.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで934.8ドル(前日比13.9ドル縮小)、円建てで3,756円(前日比1円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月29日 16時33分頃 6番限)
7,611円/g 白金 3,855円/g ゴム-円/kg とうもろこし 50,900円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「東西ロシアでリスク拡大、短期決戦はニセ情報?」

前回は、「引き続き、ウクライナ関連銘柄が高い」として、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始(2月24日)から1カ月経過後の、各種銘柄の騰落率を確認しました。

今回は、「東西ロシアでリスク拡大、短期決戦はニセ情報?」として、3月4週目(20日~26日)に見られた、「露中北」の連携強化をうかがわせる動きを確認します。

先週、米大手経済紙は「ロシア軍が目指した数日間での勝利は、まぼろしに終わった」と報じました(Wall Street Journal 3月22日)。当該記事は、ロシア軍の当初の目標が「短期間でウクライナを制圧すること」だったと、述べています。

また、3月16日(水)のバイデン米大統領の演説では、「長く困難な戦いになる」との発言がありました。こうした記事・発言は、ウクライナ危機が、長期化する可能性があることを示唆しています。

長期化した「ウクライナ危機」の延長線上に、「東アジアにおける露中北(ロシア、中国、北朝鮮)の台頭」があると筆者は考えています。逆に言えば、ウクライナ危機は「露中北」の台頭を企図して始まったものだった可能性すらある、ということです。

3月4週目(20日~26日)の「露中北」の連携強化をうかがわせる動きは、非常に迅速でした。ウクライナ危機が長期化する可能性が浮上したタイミングで、連携強化が迅速に進んだ(危機長期化示唆が露中北の連携強化のきっかけとなった)のであれば、ウクライナ侵攻の動機の一つに「東アジアにおける露中北の台頭」が含まれていた可能性が浮上します。

足元、メディアでは「東アジア」というキーワードが増え始めています(「北東アジア」を含む)。リスクが存在するのはウクライナだけではないこと(ロシアが東西で軍事色を強めていること、それと歩調を合わせる国が出現しつつあること)が鮮明になってきたことの証と言えるでしょう。

次回以降、3月の4週目(20日~26日)に報じられた、ロシア、中国、北朝鮮の主な動向について、書きます。

図:東西ロシアと北朝鮮、中国に関わるリスク


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。