西側報道だけ見ていると見落としがちになるが、ロシアが国際社会から孤立している・戦況はウクライナ有利・ロシア破綻近し、などという見方で固まっていると、この戦争が終わった時、新たな国際秩序の現実に驚いてしまうかもしれない。マーケットの一部では、先取りする格好でロシア優勢を織り込みつつある。
プーチン大統領は12日、経済に関する政府会合で、西側諸国の制裁は世界的な危機をあおり、欧州連合(EU)の打撃となり、世界の最貧国の一部に飢饉をもたらすと指摘。「この責任は全て西側諸国のエリートにある。彼らは世界的な支配を維持するために他の国々を犠牲にしようとしている」とした。
一方、ロシアは西側諸国からの圧力に対応していると言及。「近年の責任あるマクロ経済政策および経済的主権、技術、食料安全保障の強化に向けた体系的な判断により、外部からの問題に自信を持って対応している」と語った。
フィンランドが12日、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請すると表明。ロシア包囲網進むというような報道も見られるが、マーケットは欧州通貨売りの展開となっている。西側からの制裁で一時、急落したルーブルは、対ドルでも対ユーロでも既に制裁前の水準以上に上昇している。「金資源本位制」の導入検討で、金の裏付けが期待され、資源高の恩恵を受けるルーブルが、ドルやユーロに対して強い動きを見せている。
戦争が長期化すると、よりダメージが大きいのは欧州だ。ロシア産原油輸入禁止に難色を示すハンガリーは、ウクライナに軍事支援を行わないと表明するなど、ロシア制裁に対する温度差が出始めている。戦争が長引けば長引くほど、傷が少ない米国と傷が大きい欧州は分断されていく。