短期調整も「通貨の顔」として値固めへ(金相場)

著者:菊川 弘之
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 FRBは3月のゼロ金利解除に続き、5月FOMCで「追加利上げ」と「量的引き締め(QT)」を決定した。金相場は、米金利上昇・ドル高を嫌気して調整入りとなっています。1900ドル水準にあったネックラインを割り込み、ダブルトップ完成。200日移動平均線も割り込み、テクニカル的な売り圧力が高まっており、200日移動平均線を早々に回復できないと、一目均衡表からの下値目標のN=1814.2ドル、V=1783.4ドルなどが試す荒れる流れだ。

 金ETFの残高減少や、CFTC建玉明細の大口投機玉の買い越し減少が足元続いているが、「通貨の顔」としての金にとって、中長期的な強気要因が浮上している。

 一つ目が、4月29日にロシア政府から発表された「金資源本位制」導入の検討だ。プーチン氏の側近のパトルシェフ安全保障会議書記は、4月26日、ルーブル相場を金相場などにペッグさせることが検討されているとし、そうすることでロシアは自国の金融システムに対する「主権」を強化できるとの考えを示していた。パトルシェフ氏の発言を受けて、ロシア政府が金資源本位制の導入を検討が噂ではなく、正式な話になった。パトルシェフ氏は、ロシアだけでなく、旧ソ連諸国(EAEU)、上海協力機構、BRICSといった合計35億人が住む非米諸国が金資源本位制に移行していく可能性を指摘した。

 世界が米国(ドル圏)と非米側(中国・ロシア圏)に分裂する流れが加速していきそう。

 中国の在ロシア大使館は6日、中国人民銀行(中央銀行)とロシア中央銀行が決済システムで協力を深める方針を明らかにした。ウクライナ侵攻を受け米クレジットカード大手のマスターカードとビザがロシア事業を停止しており、中国カード大手、銀聯の決済システムの利用を拡大して補う構えだ。ドルの基軸通貨体制の揺らぎは、金にとって長期的な強気要因となる。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
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