二つ目の強気要因が、暗号資産(仮想通貨)市場で、ビットコイン価格が急落。ドルと価値が連動するように設計されたステーブルコイン「テラUSD(UST)」も急落した事だ。ビットコインは、昨年11月に付けた高値から半値になっている。イエレン米財務長官は10日の上院銀行委員会でテラ価格急落について言及し、ステーブルコインの急速な普及に伴ってリスクが拡大していると懸念を表明していた。
米国を始め、コロナ対策で過去に例を見ない大規模な過剰流動性を供与した流れの中で、ビットコインを始めとする暗号資産にも資金が流入、バブル化したが、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げに続き、5月FOMCでは、0.50%の利上げを決定。バランスシート縮小については、6月から月475億ドルで開始し、縮小ペースは3ヶ月後に最大で月950億ドルまで拡大するとした。
金融政策・財政政策の総動員で、既存の通貨に対する不安から金(GOLD)以上に代替通貨として大きく買われてきた暗号資産は、インフレが高止まりする中、バランスシート圧縮と利上げが同時進行する動きを嫌気する展開となっている。価格水準や値動きに株価のような指標や根拠に乏しいと言われ、チャートポイントなどのテクニカル的なウェイトも高かったビットコインは、ダブルトップを形成中で、更なる下値もありうる状況だ。
「UST」の急落は、USTを預け入れたユーザーに高い利回りを提供するレンディングマーケット「Anchor Protocol」からの多額の資金引き出しがきっかけとなったようだが、価格変動が小さく安定的と謳われたステーブルコイン最大規模のUSTがドル連動から逸脱したことや、ロシアの「金資源本位制」検討などの動きから、代替通貨の主役は、やはり金(GOLD)と言う認識が高まりそうだ。短期的には調整が先行している金相場だが、中長期的な買い場探しの段階と考える。
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