30才から2000万円を貯める方法

著者:近藤 雅世
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 あるところから、30才、40才、50才、60才から老後資金として2000万円を貯める方法についてセミナーを行って欲しいとの依頼を受けて、現在考慮中であるが、かなり難題である。確実に貯金していくなら月額5万5千円を積み立てて行けば30年で元本は1980万円になる。しかし、子供の教育資金や住宅ローンの負担があれば、5万5千円の定額積立はかなりしんどいことであろう。株式投資や不動産投資ではおそらくうまく行かない予感がする。なぜなら今後の30年間は少子高齢化が間違いなく、また新たな産業の勃興の気配はなかなか見受けられない。ソフトバンクがサウジアラビアと協同で運用しているソフトバンクビジョンファンドの投資先を見ると、オンライン金融・ECサイト、配車アプリ、学生ローン、オンライン食料品配送サービス、ホテル予約サイト、屋内野菜工場など多くの投資先が列挙されているが、どれをとってもニッチなビジネスであり、今後第二のソニーやホンダに化けるような大型案件は見られない。100万円が30年で20倍に化けねばならない。株式投資の場合は日経平均でさえ上下動が激しいのに、個別銘柄となるとかなり選択が難しい。

 不動産投資の要点は、土地や家屋の価値が上がることと、部屋を貸す時のタイムラグが短いことであろう。借家人の回転時の改修費用と新たな入居者が決まるまでの空白期間の資金が問題となる。少子高齢化で家族数の伸びも限定的であれば、少なくとも日本の賃貸状況は今後タイトになるとは考えにくい。

 翻って商品投資においては、商品価格は必ず上がるだろう。少なくとも物価スライドで上昇すること間違いない。ただ、大きなインフレになることは考えにくく、またインフレになれば貯まった2000万円そのものの価値も下がってしまう。ここにも産業が活性化せず、高齢化社会でモノのニーズが減少するという社会現象が立ちはだかる。ただ、商品先物という投資手法であれば、価格が動きさえすれば収益機会はある。問題は上げ下げの波にうまく乗れるかどうかという技術と、逆目に出ればあっという間に資本が棄損するという点である。

 金の価格はについてはこれまでなだらかに上昇している。

 金は通貨であるので、長期間でみれば下がることは無いだろう。私の専門を生かして、純金積み立てや、100万円貯金がたまった時点で金の延べ棒を購入するとか、金のブリオンコインを買うとか、様々な方法をこれから検討してみたい。

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。
毎週月曜日週刊ゴールド、火曜日週刊経済指標、水曜日週刊穀物、木曜日週刊原油、金曜日週刊テクニカル分析と週間展望、月二回のコメを執筆。
毎週月曜日夜8時YouTubeの「Gold TV Net」で金と原油について動画で解説中(月一回は小針秀夫氏)。
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