「OPECプラス」を受けた原油見通し

著者:菊川 弘之
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 3日に開催された「OPECプラス」閣僚級会合で、9月に日量10万バレルの追加増産を行うことで合意した。同日、米国務省はサウジ及びUAEに39.6憶ドルに上るパトリオットミサイルなどの売却を承認した。

 バイデン大統領が7月の中東歴訪で、サウジアラビアに対し増産を要請しことに対するバーター的な取引だが、外交辞令的な言い訳程度の増産幅で、どちらが得したかは明確だろう。OPECデータによると、日量10万バレルの増産は、1982年の生産割り当て開始以来、最小の増産幅だ。

 今週の米エネルギー情報局(EIA)週間在庫統計では、原油在庫が市場の減少予想に反して大幅増となり、ガソリン在庫も増え、夏季のドライブシーズンの需要の強さは限られるとの見方から、昨晩のNY原油市場は反落したが、在庫水準自体は、過去5年平均の下限に近い低水需のままだ。

 NY原油(9月限)は、三角保合いや、ダブルボトムのネックラインを上抜けず、反対に三角保合いを下放れた格好となり、一目均衡表からは、E=85.03ドル、V=84.14ドルを試す流れとなっている。

 まずは、200日移動平均線が下値支持線として機能するか否かが、テクニカル面からの焦点だ。

NY原油(9月限)
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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