「OPECプラス」を受けた原油見通し

著者:菊川 弘之
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 NY原油(週足つなぎ足)のチャートは、ダブルトップを形成中で、ネックライン(下記チャート緑線)である93~90ドルを、週足終値ベースで割り込んでくると、テクニカル的な売り圧力が高まる形状だ。仮に、ダブルトップが完成となった場合、一目均衡表(週足)からの下値目標は、N=86.11ドル、V=62.18ドル、E=55.36ドルなどがカウント可能。

 一方、8月の月間騰落率は、買い有利の時間帯だ。(32戦18勝14敗)。

 メキシコ湾岸では、ハリケーン被害が懸念される時期でもある。米海洋大気局(NOAA)は5月に、今年発生するハリケーンの数が7年連続で平均を上回る見通しだと発表している。大西洋のハリケーンシーズン(6~11月)に発生する熱帯暴風雨の数は14~21個。そのうち6~10個がハリケーンに発達し、さらに3~6個は大型ハリケーンになる見込みと予測した。

 世界的に異常気象が各地で多発しており、メキシコ湾岸の石油精製施設へ勢力の強いハリケーンが襲来した場合、上値リスクが高まることになる。2005年に大きな被害を与えた大型ハリケーン「カトリーナ」は、8月23日に発生。28日には非常事態宣言が発令された。今後のハリケーンの勢力・進路には注意を払いたい。

 原油市場は、一時的にテクニカル的な売り圧力が高まっても、冬場にかけてロシアの交渉カードとしての天然ガス価格は高止まりしそうで、相対的に割安感の強い原油の下値は限定的になりそうだ。株価の暴落がない限り、2011年~2014年のような100ドルを中心とした高値圏での推移が、メインシナリオだ。

NY原油(週足)
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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