[Vol.1298] ガソリン下落でも、バイデン不支持は高止まり

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。91.11ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,808.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,820元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年09月限は693.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで856.55ドル(前日比4.2ドル拡大)、円建てで3,692円(前日比23円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月15日 14時35分頃 6番限)
7,649円/g
白金 3,957円/g
ゴム 226.5円/kg
とうもろこし 47,320円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ガソリン下落でも、バイデン不支持は高止まり」

前回は、「OPECプラス10万バレル増産は返礼?侮辱?」として、OPEC+(うち減産参加20カ国)の原油生産量と生産量の上限の推移を確認しました。

今回は、「ガソリン下落でも、バイデン不支持は高止まり」として、米国のガソリン価格とバイデン氏の不支持傾向を確認します。

この2カ月間、米国のガソリン価格は下落し続けています。6月中旬のピークからおよそ20%下落しました。原油価格の下落が主因です。節目とされる4ドル(1ガロン=約3.8リットルあたり)を割り込み、割高感が薄れつつあります。

一方、バイデン氏の不支持傾向(不支持率―支持率)は、高止まりしています。ガソリン価格が下落することで、現在の米国国民の最大の心配事である「物価高(インフレ)」が沈静化に向かい、サウジアラビアに原油高是正のために増産を直談判しに行ったバイデン米大統領への評価が高まることが予想されていました。

ガソリン価格下落、不支持傾向高止まり。この傾向から、ガソリン価格の下落は、バイデン氏の功績とみなされていないことがうかがえます。原油やガソリン価格が下落していても、バイデン政権はまだしばらく、不安と戦う状態が続きそうです。

こうした不安は、米国の政局混乱を想起させます。政局の混乱は、結びつきが強い国に不安が波及する可能性があり、注意が必要です。

図:米ガソリン価格とバイデン氏不支持傾向の推移
図:米ガソリン価格とバイデン氏不支持傾向の推移

出所:Rial Clear PoliticsおよびEIA(米エネルギー情報局)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。