嵐の前の静けさ

著者:菊川 弘之
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 プーチン大統領は9月21日に予備役の部分的動員令を発表。プーチン大統領は30日にウクライナ東・南部4州の「併合」について演説する。同地域を支配する親ロシア派の要請に応じるかたちで、併合に関する条約に同日調印する。調印式は30日午後3時(日本時間同日午後9時)の予定で、その後、大統領府に招いた議員に対し演説する予定。

 条約の調印後、ロシア議会が4州を併合する法案を審議したうえで正式に併合するとみられる。この4州に向けた攻撃は、ロシアへの攻撃とみなされる可能性は高く、戦争のステージが、これまでの「特別軍事攻撃」から「ロシアvs欧米」戦争へ変わる可能性も大きい。

 プーチン大統領は27日、露在住米国人に出国・渡航中止を要請した。「特別軍事作戦」から「欧州大戦」「世界大戦」へステージが変化しつつある中、「嵐の前の静けさ」と言う感触だ。

 双方のプロパガンダ合戦が激しさを増す中、何が真実か?どちらが正しいかを判別することは不可能だが、冬にかけて原油市場は、供給サイドからは上値波乱リスク、需要サイドからは下値リスクが今まで以上に高まりそうだ。

 足元の金価格は、リーマンショック時と同じように、株価下落に対する損失補填的な売りも巻き込み下落しているが、本格的に株価の暴落が起きた場合、「安全資産」として株価との逆相関の動きが戻るだろう。

 地政学リスクが新たなステージへ移行する可能性もある中、短期売買は別にして、安値売り込みは避け、チャート上の底打ち確認後の買い場探し戦略を継続したい。JPX金(円建て金)は、200日移動平均線と重なる7400円水準の攻防が焦点。5月・8月と今年に入り、2度支持されており、今回も支持されると、支持線としての信頼性は高まる。

NY金(12月限)とJPX金(日足)

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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