[Vol.1338] 今回の会合は減産順守率の正常化に効果大

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。87.25ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,676.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,760元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年12月限は673.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで796.95ドル(前日比2.15ドル拡大)、円建てで3,841円(前日比43円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月13日 13時59分頃 6番限)
7,851円/g
白金 4,010円/g
ゴム 229.1円/kg
とうもろこし 51,320円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「今回の会合は減産順守率の正常化に効果大」

前回は、「増産可!?『基準』『上限』『実際』を区別」として、減産に参加するOPECプラス20カ国の原油生産量などについて、述べました。

今回は、「今回の会合は減産順守率の正常化に効果大」として、減産順守率の計算方法とそれを低下させる方法について、述べます。

前回までの2回で、減産順守率とそれを算出する数値の推移を確認しました。ここからは、10月5日に開催されたOPECプラスの会合が、これらの数値をどのように動かしたかを確認します。

今回の会合で、「要求された削減量(減産基準量-生産量の上限)」が増えました(163万バレル/日量→200万バレル/日量)。また、「減産基準量」が引き下げられました(4,548万バレル/日量→4,385万バレル/日量)。

これらにより、「[Vol.1337] 増産可!?『基準』『上限』『実際』を区別」で述べた、140万バレル/日量(9月比)の増産余地が確保され、「実際の生産量」の増加が可能になりました。「要求された削減量」の増加、「減産基準量」の引き下げ、「実際の生産量」の増加は、いずれも減産順守率を低下させる要因です。

今回の会合がまさに、異常値と言うべき水準まで上昇した減産順守率(「[Vol.1336] 『減産順守率の正常化』を起点に考える」で述べた)を正常な水準まで低下させる策となっていることがわかります。無理なく減産順守を達成できる110%から120%あたりで減産順守率が推移するようになれば、OPECプラス内の体制はより強固なものになるとみられます。

図:減産順守率の計算方法とそれを低下させる方法
図:減産順守率の計算方法とそれを低下させる方法

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。